第35話



「………………好き、朔くん。」




零れ落ちたのは、私の本心。







好きの気持ちが溢れ、自然と自分の口から紡いでた。




「ん、俺もだよ。」




やんわりと引き寄せられて、温かな朔くんの腕の中に囲われるように、すっぽりと収まる。




「好きだ、神無。」




頭に落ちる、朔くんの口付け。







それは、甘く私をときめかせ。







愛の言葉に、胸を震わせた。











あの頃。





朔くんと出会う前の私は、恋とか、愛だとか、そんな言葉を、全く信じてなかった。





永遠なんて、ちっぽけで。





儚く、幻想に過ぎないのだと。










………………自分の両親を見て、そう、私は思っていた。

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