第23話




「暁、どうかーーー」




騒がしさに駆け付けた俺は、我が目を疑った。




「………………は?」




………う、そ、だろ。






自分の血の気が引く。





「………っっ、莉茉ちゃん!?」




その場の惨状に、息を飲んだ。







ぐったりと崩れ落ちたまま、ぴくりとも動かない莉茉ちゃんを抱き上げる暁。








その場は、血だまりで真っ赤に染まっていた。




「………っ、刺されたのか。」




莉茉ちゃんの直ぐ側に呆然としながら座り込み、涙を流す水瀬茉莉の手元には、光輝くナイフ。







刃先は、血に濡れている。







この場の惨状の事の次第を俺が理解するには、それだけで十分だった。

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