第14話





「………………ねぇ、茉莉ちゃんなのかしら?」




怖いくらい、真剣な顔。






広角は上がっているのに、瞳が全く笑っていないお母さんに、私は首を横に振っていた。







………………本能的に。




「………っっ、ううん、莉茉じゃないの?」




その時。





私は、大きな嘘を付いた。






生涯、消えぬ罪を背負って。









分かって、いたの。






お母さんの、その狂気の矛先が全部、私ではない、誰に向かうかって事は。





………………分かっていたのに。

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