第35話

僕は夢中になると周りが見えなくなるタイプだ。


何度か兄が服を届けにきたが、その時も小説を読んでいて


ほとんど気がついていなかった。


しかし、父が来ると僕の神経はこわばる。


読んでた本をしまい、


父のご機嫌を伺う。


父がご機嫌のいい日なんてほとんど無かった。


だからなるべく、


父の機嫌を損なわないように、


気を引き締めていた。

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