闇魔のやり直し~世界征服直前で伝説の英霊どもに魔王の再来と言われ殺された俺、何故か20年前に回帰。よし!今度は英霊共もぶち殺して完璧な世界征服をして……ってあれ?なんか俺の知ってる流れと違うんだが?~
まんじ
第1話 俺は生きているぞ!
「なんだ……俺は死んだはずじゃ……」
俺の名はダイナ。
覇王国のトップであり、人は俺の事を覇王と呼ぶ。
――もしくは侵略王。
俺は、覇王国は大陸中の国と戦争を起こし、そしてその全てに勝利をおさめ続けた。
そしてその結果、世界の大半をこの手にしている。
後ほんの少し。
最後に残った抵抗勢力を踏みつぶせば世界は俺の物になるはずだった。
――だがそうはならなかった。
戦場の空を黒く塗りつぶす雨雲。
敵軍はもうボロボロの状態で、彼らを蹂躙すればそこで世界征服は完了するはずだった。
だがそれは突然やってきたのだ。
突如、空を黒く染め上げていた雨雲が割れ。
まばゆい光と共に、5人の戦士が天より舞い降りてきた。
「我らは闇を打ち払う者。エスペランサー」
エスペランサー。
それはかつて世界を滅ぼしかけた魔王を倒した、人類の英雄達の称号だ。
時間にして1,000年以上前の、おとぎ話の中の英霊達。
そんな人物達が、今もまだ生きているはずがない。
普通ならそう考え、名を騙るだけの知れ者と判断しただろう。
だが違った。
そう思わざるえななかった。
何故なら奴らは、伝説の再来と言う程の力を持っていたからだ。
覇王として世界統一を実行していた俺の力は、この世界において絶対だった。
俺と真面に戦える者などいないと確信を持てる程に。
実際、世界征服において障害となる程の存在はいなかった。
だが奴らは違う。
感じるその力は、一人一人が俺と同等かそれ以上。
そんな五人組が、伝説の英雄達以外にいるとは流石に考えづらい。
ましてや、それほどの力の持ち主が他者を騙る必要も皆無だ。
その事から、奴らは正真正銘のエスペランサーであると判断した。
「伝説の勇者達が一体何用だ?」
「闇の力を持って世界を蹂躙する貴様は、魔王の再来だ。ゆえに……我らは正義の名の下、貴様を断罪する!」
「魔王だと?俺の目的は世界を統一する事であって、滅ぼす事ではない」
力の源泉的に魔王ではないとはっきりとは言いずらい物はあったが、俺と魔王には絶対的な違いがあった。
それはこの世界に対する影響だ。
俺の目的はあくまでも世界の統一であり、全てを滅ぼそうとしていたと言われる魔王とは全く違っている。
「問答無用!」
だがエスペランサーは俺の主張に耳を貸す事はなかった。
「くっ……」
戦いは一方的な物となる。
俺の下には、一人一人が一騎当千となる、俺の闇の魔力で強化した暗黒騎士団1、000名がいたが、彼らの力では英雄一人真面に止める事は出来なかった。
そのため、実質自分と同等以上の力を持つ相手5人との戦い。
此方に勝機など微塵もなく。
そして俺はエスペランサー達によって打ち取られてしまう。
「くそが……覚えておけ、俺は必ず地獄の底から戻って来る。その時、必ずお前たちを八つ裂きにしてやるからな」
俺は怨嗟の言葉を残してこと切れた。
正直、こんな言葉はただの捨て台詞である。
本当に地獄があるなどとは思っていなかったし、仮にあったとしても、そこから蘇ってくる事などできるはずもない。
だからただの捨て台詞。
そう、ただの捨て台詞だったはずだった。
だが――
「くくく……ふはははははは!俺は生きている!生きているぞ!エスペランサー共め!」
周囲にエスペランサーの気配はない。
奴らは俺が死んだと思い、去って行ったのだろう。
「この覇王ダイナへの留めを刺さなかった事を必ずを後悔させてやる!」
間抜け共め。
貴様らに受けた借りは、きっちり利子を付けてお返しをさせて貰う。
「にしても……ここはどこだ?」
俺がいたのは戦場だ。
だが今いる場所は、どう見ても室内だ。
それにどういう訳だか、俺の中にあった膨大な闇の魔力がほとんど感じられない。
まあこれは致命傷に近いダメージを受けた影響ともいえるが……
「そういえば痛みが無いな?誰かが俺を治療し……ん?」
ふと、鏡が目に入る。
姿見だ。
そしてそこに映る幼い少年の姿に、俺は眉根を顰めた。
それは見覚えのある少年。
それこそ子供のころには、毎日の様に見ていた姿。
そう、鏡に映ていたのは――
「これは……子供のころの俺……か?」
――幼い頃の自分の姿だった。
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