ビーフシチュー

天川裕司

ビーフシチュー

タイトル:ビーフシチュー


●意味怖


「ビーフシチューの中に誰か泳いでるね」

『んなわけないじゃん』

「でも泳いでるよ、ほら」

『……幻想見てるんだよきっと』

「早くビーフシチューできないかなぁ」

『君、好きだもんね』

「クリームシチューよりビーフシチュー…」

『言った後、ちょっと余韻が残る?』

「………」

『本当はクリームシチューも好きなんじゃ…?』

「……うん」

『シチューと名がつけば、大体好きなんだろ?』

「いやいや別に…」

『正直になれよ。映画とかドラマの影響?』(畳みかぶせるように)

「…君はシチュー、好きじゃない?」

『関係ないじゃん』

「僕も言ったんだから答えてくれたってイイんじゃない?」

『君が勝手に…』

「言ったにしてもそれ聴いて会話続けてくれたんだから、恩返し」

『好きだよ』

「なぁンだ。結局好きなんじゃない♪」

『でも君みたいに深く考えたりしないもん』

「深く浅くって、君わかるの?」

『…まだ誰か浮いてる?そのシチューの中に』

「…ん?そりゃ浮いてる…あ、居ない」

『ほらほらよそ見するから』

「君のせいだ」

『wシチューのせいだろ?匂いが、君の偏見取り消してくれたんだよ』

「ねぇ、外行かない?」

『シチューほっといて?』

「うん、外行かない?」

『行こう』


(だいぶ時が経って)


『やぁ〜今日も疲れたねぇー、歩き疲れたぁ』

「ふぅ。あともう少し」

『もう少しで家だね。我が家』

「…何か匂ってきたね?」

『ん、あ、ほんとだ』

「これってシチューの匂い?」

『だね。多分ビーフシチュー?』

「イイなぁ。僕、ビーフシチュー大好きだから」

『自分で白状してるw』

「さっきまでの話はもう無しだよ?w」

『自分勝手(笑)』

「はぁ〜、今日、ビーフシチューの家は幸せモンだよ」

『子供なんか特にねぇ』

「親だって幸せさ。子供の幸せは親の幸せなんだから」

『さ、早く帰ろ』

「うん」

『家の前、やっと辿り着いたね』

「うん。あ、でもこの匂い…」

『もしかして、ウチ…?』

「そうだよ、ウチだよ」

『(笑)よかったね』

「お腹空かしてる時にカレーライスの匂いがさぁ、自分の家の方から匂ってたら幸せだよねぇ」

『ああ』

『それと同じことが今起きたって』

「さ、帰ろ」

「…今日のシチュー、本当にビーフシチューだったらイイんだけどな…」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=o2BieVJtqbk

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ビーフシチュー 天川裕司 @tenkawayuji

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