第36話

そう言われて、ハッとした。


そうだ、琴乃はなんで東に来てたんだろう。


颯に言われて…?


でもこの前スパイは俺の役目だって言ってたし、それなら琴乃が東に来る必要はなかったはず…。


もしかして、陸登に仕返しするつもりだったとか…?


いや、仕返しならいつでもできる距離にいたけど、今までそれらしきことは何もなかったし…。


それに陸登とも普通に接してたよね。


恨んでるっていうよりはむしろ──。



「壮太さん?」


「…え?」


「どうかしました?」


「いや、別に何も…」

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