事実

第1話

「ねえ、颯。どーゆうことなのー?琴乃チャンがコッチ側だなんて、僕ら知らなかったんだけどー」


「“敵を欺くにはまず味方から”って言うだろ?」


「そーだけどさー。本当にびっくりしたんだからねー?琴乃チャンも演技上手いよねー」



歩稀がぶすっとした表情で私を見る。


“演技”って…。


歩稀たちに対して演技した覚えはないんだけど。


だって私、西の幹部が歩稀たちだってこと本当に知らなかったもの。



「つーかお前西のスパイだったわけ?」


「スパイなんてしてない。それは壮太の役割だから」


「は?じゃあお前アッチに何しに行ったんだよ」


「私には、私のやりたいことがあったの」

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