鵺一部六章の反省文

 毎度ありがとうございます、城山です。

 ついにここまで来ました。クライマックス六章の反省文です。


 六章は、当初考えていなかった展開要素のてんこ盛りです。

 鈴心すずねが、銀騎しらき詮充郎せんじゅうろうに魂を提供し、DNAをいじられた身体だということは最初から設定していました。

 え、星弥せいやも!? となったのはそこから随分後です。星弥の役回りをどれくらいのもにするかが、なかなか決められなくて、なんなら二部で「都合のいい男」状態になる皓矢こうやよりも、薄い感じでいこうとした時もありました。

 が、男2人に幼女1人では、あまりに変態構成ではないかと思い、星弥をヒロインに格上げしました。そうすると、鈴心と同じくらいの設定をこねくり回したい欲求が出てきてしまって、今に至ります(笑)全て公開できるのは随分後になるとは思いますが、鈴心と星弥の背後にある設定はだいぶドギツイです。蕾生らいおはるかなんて幸せな方なんじゃないでしょうか。


 本文で全く無視した皓矢の呪文教室〜♪(笑)※読み飛ばし可

 

 ① 沈幽鴇送紅至心緒(ちんゆうときにおくるくれないにいたれしんのしょ)

 沈=鵺化を鎮める、幽=キクレー因子、鴇送=星弥に届け(鴇が星弥のイメージカラー)、紅至=父の術式へ(紅が紘太郎のイメージカラー)、心緒=心の動くいとぐち(ここでは心と心を繋ぐという意)

 文章にすると、「(蕾生達の)心を繋ぎ、父の術式へ送りますから、星弥の所へ届けてください。そして鵺化を鎮めてください」みたいな感じになります。

 五章の反省文で書いた通り、皓矢の言霊の基本文字数は5文字です。これは8文字あります。通常、自分の力量以上の文字数の言霊を紡ぐと威力があがります(という設定です)が、引き換えに成功率が下がります。皓矢は無理をして3文字足した結果、この術は失敗しました。


 ②握虚芯絶胆(あくきょしんぜつたん)

 文章にすると「心臓を握る。息をするな」という意味になります。これは5文字なので皓矢の実力相当ですから成功率は100%です。

 ①と②を見比べていただくと、①の方は皓矢のオリジナル言霊で皓矢の優しさがよく表れている呪文になり、余談にはなりますが、その優しさの部分を排除して②のような命令形にしていたら、①の呪文は文字数がもっと短くなり、成功したかもしれません。

 ②は、一族が練った非情の呪文をそのまま使ったので、効果が絶大になりました。


 ③鎮虚温子還(しずむうつろしをたずねかえれ)

 文章にすると「鵺の因子よ静まれ、そして優しいあの少年(蕾生)に戻りなさい」です。これも皓矢の「優しさ」が多く含まれていますが、5文字なので成功しています。と言うか、③の場合は、②のように非情な命令文だったら5文字だったとしても、蕾生の鵺化は戻らなかったのではないかと思います。この呪文の場合は、皓矢の「いたわり」がこめられていたからこそ、蕾生の姿を戻すことができたと思っていただきたいです。


 この、皓矢が使う「新銀騎式言霊」(今命名した。今後変わるかも。笑)については、三部で皓矢の師匠が出るので、なんか詳しく解説できるんじゃないかなーって思っていますが、どうなんでしょう(笑)


 なんやかんやで蕾生が鵺化しますが、最初は黒い鵺のままで蕾生に戻ればいいかって思ってました。金色の鵺になるっていうのは、つい土壇場でつけ足したものです。金色にして他と差別化することで蕾生の特別性が担保できるし、黒い一般鵺なら誰でもなれるかも? と思って、二部で蕾生以外も鵺化できるという手段が可能になり、結果良かったなあと思っています。


 さて、詮充郎の話をしよう(座り直し)

 鵺シリーズの、とりわけ一部のテーマは「定められた能力の中で頑張って生きる人達を描く」ことであります。出来ないことはしなくていい、出来ることをすればいい。運命に逆らって、無理をしてでも自分を良い状態にもっていかなくていい。という事です。誤解を生まないように説明するのが難しいのですが、自分の運命が嫌いなら逆らってもいいし、自分を向上させる努力も悪い事ではないです。「無理をする」と良くないよねって言う感じですかね…

 ですから、鵺シリーズに出てくる敵のような人達は、「自分の能力を超えた何かを欲しがる」人、そのために「無理(他人を傷つけたり)」をする人なんだと思います。

 このテーマが正しいとかそういう議論はしないで、ただ、「自分の人生を頑張って生きる」ことを表していけたらいいなあと思います。

 その最初の体現者として、「持たざる者」詮充郎は出来ました。私もいろいろ「持ってない」人生を生きているので、詮充郎はまさに私自身と言えます。そうなると、この爺さんがすごく愛おしいんだよねえ(笑)しかし、詮充郎にはこれまで行ってきたことの報いは受けるべきなので、そこは容赦なくやってやろうと思いました。Mなので(笑)

 ラストで、詮充郎は死ぬはずでした。ですが、それだと恨みつらみをぶちまけて逃げ切ったことになり、ずるい! となったので、ギリギリ生きています。何しろ、彼にはまだリンとの密約を語るという重要な役割が残されているので、それをやり切るまでは死ねません。Sなので(笑)


 素人が自作を語るとやっかいだろう?


 お付き合いありがとうございました。次回、エピローグの反省文でお会いしましょう。

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