キャラクターが振り返る 鵺一部二章

 はるか   打倒! 銀騎しらき詮充郎せんじゅうろう

 

 蕾生らいお  どうした?

 

 永   いや、やっぱり、そこだけはブレたらいけないと思って

 

 蕾生  まあ、確かにな

 

 永   圧倒! 銀騎しらき星弥せいや

 

 蕾生  ……どうした?

 

 永   いやあ、あの時は完全に言い負かされちゃったから、二度と負けるか、と思って

 

 蕾生  永も銀騎も、どっこいどっこいの腹黒さだと思うぞ

 

 永   ええ!? 僕の方が絶対もっと黒いでしょうが! あんな小娘と一緒にしないでよね!

 

 蕾生  おお……腹黒さも勝ちてえんだ……

 

 永   当たり前じゃん、僕から裏工作を取ったら何が残る?

 

 蕾生  ……

 

 永   ……その沈黙こそが、僕への最大の賛辞だねえ

 

 蕾生  あっそ

 

 永   ライくんだって、可愛いなって思った子が腹黒かったら嫌でしょ?

 

 蕾生  べっ、別に、あいつは普通だろ!?

 

 永   そうそう、普通に可愛いよね(ニヤニヤ)

 

 蕾生  そういうのはねえ!

 

 永   だからさ、銀騎さんは処世術として「腹黒くあろう」としてるだけなんだよね。本当はただの女子

 

 蕾生  負け惜しみか……?

 

 永   違う! あんなお嬢様に真の腹黒は語れないってこと! それに比べて僕の腹黒は筋金入りだから。息をするように裏工作するから

 

 蕾生  お前がそれでいいなら、いいけど

 

 永   しかし、リンが銀騎側に転生してたなんて、オドロキだったよねえ

 

 蕾生  永は、それであの爺さんを疑ってるんだろ?

 

 永   当たり前じゃん! あのクソジジイ、度重なる汚い所業に飽きたらず、リンまで手中に収めるとは許すまじ……!

 

 蕾生  今の名前は、鈴心すずねか。あいつは敵方に転生したのに、なんで俺達を拒絶するんだ?

 

 永   そこだよね。リンは「もう嫌になった」なんて言ってたけど、銀騎に生まれたことの方が嫌じゃない?

 

 蕾生  俺にはそこまでは、よくわかんねえけど

 

 永   僕だったら、あのジジイの孫に転生した時点で飛び出してるね! 幼児だって関係ない、一人で生きてやんよ!

 

 蕾生  ……もう現代だから、多分無理だぞ

 

 永   そんなことないもん! 待って、話がズレてる。リンは絶対他に何か隠してるよね

 

 蕾生  だろうな。だから銀騎も協力してくれるんだろ

 

 永   リンがまだ十三歳なこと、御堂の家に生まれたこと……あいつの姿だけで、重大な謎ばっかり浮かぶよ!

 

 蕾生  そうなのか

 

 永   まあ、何にしても、銀騎さんが意外とこっちに理解を示してくれて助かったよねえ

 

 蕾生  そうだな。最初の調子じゃ、鈴心を隠して俺達を追い出しても良さそうなもんだったのに

 

 永   彼女は本当に冷静だよ。自分がどう動けばリンにとっていい結果になるのか、それを瞬時に計算したんだと思う

 

 蕾生  銀騎の思う、「鈴心にとっていい結果」っていうのは……?

 

 永   僕は彼女じゃないからわからないけど、このまま僕らを遠ざけることはリンのためにならないって思ったんだろうね。という事は、銀騎さんは詮充郎ともあまり仲が良くないような気がする

 

 蕾生  そうか、爺さんに従うような孫なら、俺達は問答無用で追い出されてるな

 

 永   ふへっ、実の孫にまで嫌われてるなんて、クソジジイらしくて可笑しいや

 

 蕾生  そこに、俺達が付け入る隙があるってことだな

 

 永   その通り! という訳で、リン奪還の悪巧み、始めるよー!

 

 蕾生  自分から悪巧みとか言うんだ……

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