底辺探索者が異世界で魔法を覚えて最強になる話
一之瀬
第1話 底辺探索者は異世界に召喚される
スライムが襲い掛かってくるのをひらりとかわす……かわしきれずにスライムの体当たりがお腹に直撃する。
転びそうになる体を必死に踏ん張り、スライムに剣を力任せに叩きつける。
「やっと倒せた」
スライムの体が霧散してことりと何かが落ちる。
「
もしかしたらレアアイテムが出るかもしれない、そう思ったが違ったようだ。
ガッカリしたが、これも大事な収入源。
失くさないようにしっかりバッグの中に入れる。
ここはダンジョン。
ダンジョンは現代に突如として現れた謎の建造物だ。
ダンジョンのなかにはモンスターがいて人間に襲い掛かってくる。
そのモンスターを倒すと不思議なアイテムを手に入れることができる。
アイテムはどれも高値で取引されていて、それによってお金を稼ぐ者たちは探索者と呼ばれ、僕もその内の一人だ。
(まあ、僕はその中でも最底辺なんだけどさ)
昔から運動は苦手だった。
頭は悪くなかったけど得意といえるほどでもない。
高校には通っているけど学業は最低限、とにかくお金を稼ぐために危険なダンジョンに潜る。
僕は家族を養うためにもダンジョンに潜るしかなかった。
たとえ最低の探索者適正だったとしても。
(
そう思い歩き出そうとしたところで急に眩暈がして、それは強い頭痛に変わっていった。
(まずい! ダンジョンの中で気絶するわけ……に……は)
僕は頭の中をかき混ぜるような強い痛みに耐えきれずそのままばたりと倒れこんだ。
視界が真っ暗になった。
『こ、ここはいったい……』
「やっしゃあああああ! やったあああああ!! foooooooooo!!!」
『え、だ誰っ』
わけのわからない状況に混乱している僕の目の前にいたのは腕を天高くつき上げてガッツポーズをする謎の美女だった。
髪は驚くほどに白くて魔法使いのような黒いローブをまとっていた。
『何がどうなって、てえええ!』
それに気づいたとき僕は驚きの声を上げていた。
『か、体がないっ』
「そうさ! 肉体を伴った【
美女はそういって高笑いしている。
混乱しかない頭を冷静にして僕は謎の美女に話しかける。
『あ、あなたはいったい誰なんですか?』
「私か? そういえばまだ自己紹介をしていなかったな」
謎の美女は今までの狂気的なふるまいがまるで嘘であったかのように、綺麗な一礼をしてから言った。
「まずは初めまして。私は月の賢者ルナリスだ。君をここに呼び出した張本人さ」
これが謎の美女、いや月の賢者ルナリスとの出会いだった。
この時はまだ自分の身に何が起きたかわからなかったけど、ここが僕の人生の分岐点だった。
底辺探索者が異世界で魔法を覚えて最強になる話 一之瀬 @1n0se
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