18歳を迎えたら日本のカミサマのトップになりました
桐崎りん
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幼い頃、うちのキッチンのゴミ箱の中には目玉がふたつぎょろぎょろ動いていた。
そいつが、うちのゴミを食べてくれているらしい。たしかに、ゴミ捨てに行ったことはないが。
朝起きたら、宇宙空間みたいなところにいたり、時間が巻き戻っていたりしたこともある。
ちなみに、今日も3回目である。
祖母の家に行くには、空を登る必要がある。なぜかは分からないけど、雲の上のまたその上にある。
母が歩けば花が咲くし、父が歩けば花は枯れる。
うちの家族は少し……いやかなり変わっている。
父は自らのことを龍の子孫であると言い張るし、母は鬼に育てられたと言う。
いや、待て待て。
ここは、現代の日本。
そして、僕は公立高校に通う至ってふつうの18歳。
けして、ファンタジーではないのだ。
繰り返すが、僕は一般人である。
……一般人であった。
そう、18歳を迎えたと同時に一般人ではなくなったのだ。
いや、正確にはもっと前から一般人でないのは明らかだったけど、とにかく18歳の誕生日を境目にして何もかもが変わってしまった。
ふつふつと身体から湧き出るエネルギーを常に感じるようになった。
世界が歪んで見えるようになった。
僕が歩いたら、道が波打つようになった。
僕が泣いたら、空も泣くようになった。
僕が笑いすぎたら、気温が上がって、湿度が下がって、猛暑になるようになった。
僕は、この世界のカミサマになってしまった。
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