喧嘩するほど

第2話

ありのままがすき






「だからあ!ここはこうした方が絶対顧客の反応良いです!」



「コスト面で現実的じゃねぇって言ってんだろ」



「そこはこの部分を削って欲しいって言ってるじゃないですか」



「出来ねぇって何遍言ったら分かんだ単細胞」



「な?!」



「はいこの話は終わり。無駄な話続けるくらいなら代替え案早よもってこい」



「〜っ!絶対修正してこの案通してませますからね!」





はいはいとあたしの言葉なんてもう聞いてない目の前の課長に舌打ちしそうになるのをぐっと堪えてくるり背を向けた。



オフィス内の空気があぁまたかとすっかり慣れきった生ぬるい空気になるのを肌で感じながら、苛立ちを隠す事もせずデスクに戻る。





「悔しい…!」



「お疲れ様」



「ほんとに悔しい。今度こそいけると思ったのに」



「まあコスト面指摘されちゃそりゃ通んないわよ」





悔しいと頭を抱えながら唸るあたしに同期社員がお疲れ様と声を掛けてくる。



練り直した企画がことごとく鬼によって却下されてしまうからあたしのストレスはマックスといっても過言ではなくて。





「愚痴なら聞くけど今日飲みに行く?」



「あー、待って。確認する」





人を殺めてそうな顔をしてると指摘されながらスケジュール確認のため携帯を確認すれば。




ー家で待ってるから




タイミング良く飛んできたメッセージに眉間にシワを寄せる。

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