男子校に入ったはずが、俺以外のクラスメイトが全員が男装している女子だった

田中又雄

第1話 男子校...どころか男子が俺一人なのだが

「君の学力ならどこにだっていけるよ?どうする?」と、担任の先生が楽しそうにそう言った。


「...じゃあ、僕は東乃宮男子校に行きます」というと、少し戸惑ったような表情を見せる。


「...え?まぁ、東乃宮もそこそこ偏差値は高いが...葛城の成績ならもっと上の高校も入れると思うぞ?」


「いえ、大丈夫です。もう、あんまり女子とは関わりたくないので」と、苦笑いしながら返答する。


 そんな俺の反応を見て、先生は辛そうな顔をする。


 まぁ、仕方ない。

俺にとってあの地獄などもう2度と味わいたくないものはない。


 女子に人生を狂わされたと言ってもいい。

だから、これからの人生は女子なんていない、男子だけの世界で、俺は平和な日常を取り戻すつもりだった。


 そのはずだったのに...。


 ◇始業式


 胸を高鳴らせて朝、登校する。


 無事、東乃宮男子校への入学が決まった俺。


 男子校らしく学ランを来て登校するこの瞬間をどれだけ待っただろうか...。


 見渡しても同じ制服の生徒は全員男子、いやはや...これほど安心できる環境が他にあるだろうか?


 そう思っていると、1人の生徒に目が行く。


 長い髪を一本に結んだ後ろ姿は女子のような生徒。


 まぁ、ああいう生徒もいるわな。

しかし、髪は長かろうと男子なのだ。


 ...そう思っていたのにその横顔を見た瞬間、俺の女子センサーが警報を鳴らす。


 あれは女子だ...と。


 どういうことだ?と頭を捻る。


 しかし、いくら考えても答えなんて出ない。


 理解できない現状に混乱しながらも、俺は学校に向かう。


 いや、気のせいだ。あれは気のせいだ...と。


 そうして、無事に学校に到着し、靴を履き替える。


 生徒用玄関を抜けるとそこには大きな掲示板があった。


 ずらりと生徒の名前とその紙が書かれていた。


 俺の名前は...あった。

1年5組か...。


 そうして、さっさとその場を後にする。


 やはり見渡しても男子だらけ、あれはきっと何かの見間違い、もしくは訳ありなのだろうと思って、案内板に従い、1年5組に向かう。


 少し歩くと、無事に教室に到着する。


 はぁ...。と、少し深呼吸する。


 青春とは程遠いが、ここから先に俺の楽しい高校生活が待っている。


 そう思いながら、教室の扉を開けた瞬間のことだった。


 フローラルないい香りが鼻を通る。


 なんだ、これは?

男子校ってこんないい匂いがするのか?


 そう思って扉の先の教室を見ると、そこに居たのはどう考えても女子が男装しただけのクラスであった。


「...は?」

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