煩わしいのが嫌いなのに、余計なことをして、余計な仕事を増やす僕の特性

白鷺(楓賢)

本編

僕は昔から、煩わしいことが大嫌いだ。人間関係のいざこざや複雑な手続き、予想外に長引く仕事の調整など、面倒なことはできるだけ避けたい。できるだけシンプルに、物事がスムーズに進むように、日々調整しながら生活している。


たとえば、何か新しいことを始める時も、最初から無理のない範囲で続けられるものを選ぶようにしているし、少しでもストレスになりそうな事柄は避けるようにしている。少しでも煩わしさを減らして、自分の心と体に負担をかけないように工夫を凝らしているのだ。


だけど、そんな僕には一つ、避けられない問題がある。どうしても余計なことをしてしまう特性だ。本来ならばやらなくても良いこと、言わなくても良い一言、気にしなくても良い細かい部分に、つい手を出してしまい、結局それが後々大きな問題に発展してしまうことが多い。


例えば、家の片づけをしていて、要らないものを捨てようと決めた時、無意識に本当に必要なものまで一緒に捨ててしまうことがある。そして後でそれに気づき、「なんでこんなことをしてしまったんだろう」と後悔してしまう。そこから、探し回ったり、買い直したり、場合によってはそのせいで予定が狂ってしまったりすることもある。


また、ちょっとしたことで注意力が散漫になり、間違った判断をしてしまうこともある。普通なら折らなくてもいい部分を折ってしまったり、思いがけないタイミングで大事な仕事を後回しにしてしまったり。結果的に、自分で自分の首を絞めるような形で余計な仕事を増やしてしまうのだ。


こうなると、余計なことをしてしまった自分に対して自己嫌悪が襲いかかる。「なんでこんなことをしたんだ」と自分を責め、そのせいでさらに不安が膨れ上がる。火消し作業に追われて、本来の予定はどんどん後回しになっていく。それがまた新たな不安やストレスを呼び、悪循環に陥る。


一番困るのは、これらの「余計なこと」をやってしまう時、それが無意識であることだ。意識していれば止められるはずなのに、気づいた時にはもう手遅れになっている。この癖は自分でも本当に厄介だと思う。


煩わしいことを避けるためにシンプルに過ごしたいはずが、無意識のうちに複雑な状況を作り出してしまう。この矛盾が僕の中には常に存在している。自分の特性とどう向き合っていくべきなのか、毎日模索しながら生きているけれど、これも僕自身の一部なのだと、少しずつ受け入れるしかないのかもしれない。


今、僕ができることは、少しずつでも火消し作業を早く終わらせる方法を見つけていくこと。余計なことをした時にすぐに対処できるようにすること。それこそが、僕にとってのシンプルで煩わしくない生き方に近づく一歩になるのかもしれない。

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