私は人柱になりたい

@tsubaki_kaede

第1話 犬死と人柱

会社から復職を拒まれている。

他の従業員が行っている通常業務をこなせるだけでは、復職を認めないそうだ。

休職の要因となった業務をこなせることを従業員側が証明しなければならない。

12月末の休職期間が切れたら自動退職。

あと3か月弱。


休職になった要因については、労基署に労災を申請中。

労災申請理由について、会社から申立者(私)への確認は一度も行われていない。

労災申請以前にも何度も不適切行為を申し立てたが、労働施策総合推進法による措置の『相談者への事実確認』は一度も行われず、証拠類の提出機会も与えられていない。

会社の回答は『人事・法務において適切に確認の上、ハラスメントをはじめ不適切な言動は認められないと判断しております』から変わらない。

何を以て「適切に確認」なのだろうか。何故『判断』出来るのだろうか。

裁判官でも原告と被告の両方から意見を聞いた上で判断するというのに。

弊社の人事と法務部は、彼らには無い能力を持っている優れた集団なのだろう。


会社の復職基準をやってみることにした。


・休職前の業務の音声の聞き直し、資料の再読(労災認定基準「業務による心理的負荷評価表」の心理的負荷「強」の項目に該当する回を含む)

・2021年~今までの出来事について、会社への感謝を日々書き綴る

 ※このエッセイ

・達成困難なノルマについては、同様のノルマをリハビリで再現することは困難であるが、それでは復職後に行うことができるという証明として不十分。別の達成困難な事として「業務による心理的負荷評価表」の「特別な出来事」である『1月当たりおおむね160時間以上の時間外労働を行った』をノルマとする

・リハビリの期間中、会社が認めていないマインドセットである「鬱の原因となったこと出来事を過去のものとして反応し過ぎない」は行わない


死ぬか病むか。生き残って復職出来ても、彼らは私が辞めるまで、同じ業務を課し続けるだろう。

死に方にも二つあると思う。

犬死と人柱。

私は後者でありたい。

会社が改善するとしたら、犠牲を出してしまい、外部から非難または指導を受けた時だろう。

死にたい訳ではないけれど、他の誰かが人柱になるよりは私がなろう。


誰にも気づかれないけれど誰かの役に立つ人柱になれる機会を与えてくれた会社に、感謝する。

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