あやかしJK女将の隠れ宿

こい

一泊目♪ JK♪

「んっん〜〜〜♪

すっごい快晴!

いい天気だね!

今日は記念すべき、脱引きこもり!

もう10時だけど、高校生活初登校!

よし! がんばるっぽん!」


青空に向かって握りこぶしを掲げる女子高生♪

セーラーカラーの両端に小さなリボンがあしらわれたセーラー服が初夏に涼しく見える?


「おお〜。張り切っとるのう。

陽和ひわちゃん、道に迷わんようにの」


げんさん、おはよう!

ぼろぼろのほうきで掃き掃除、おつかれさまです!

迷子になんかならないから大丈夫だよ!」


……ほんとか〜?

  泣きべそかいて戻ってくんじゃねぇの?

  いっしっし!


空耳のような声に視線を落とすと?

裏玄関の入り口の脇に置かれたたぬきの置物の上に小動物♪

耳のとがったオコジョのような生き物?


「いっちゃん、いじわるばっか言う!

ママ、今日からちゃんとがんばるね!」


裏玄関の内側に顔だけのぞかせて、シューズクローク棚に置かれたデジタルフォトフレームに声をかける♪

やさしく微笑む和服姿の女性の姿がそこに♪


「それじゃあ、行ってきま〜す!」


扉を閉めて歩きだす!


ずべん!


……いっしっし!

  さっそく転んでやんの!

  尻のそれ、見つかんなよ!


「む〜。わかってるもん!」


細い路地を抜けて、歩道に出ると振り返る。

高層ビルに囲まれた趣のある細い小道。

石畳が敷かれた小道の先には、歴史を感じる古びた木造の建物が佇んでる。

表玄関には九十九つくもと彫られた趣のある天然木の看板が下げられていた。

都心の高層ビルのど真ん中にあるにもかかわらず、やさしい穏やかな陽が差している。


隔離世かくりよで見ててね、ママ」


確かな決意を胸に、大きく息を吸い込む!


「絶対、ママの旅館を復活してみせるんだから!」


二時間後!


「道に迷っちゃった♪」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年12月3日 17:00
2024年12月4日 17:00
2024年12月5日 17:00

あやかしJK女将の隠れ宿 こい @k_o_i

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画