世界最強の召喚獣として召喚された俺はどうやらあらゆる美少女にテイムされちゃうらしい
丸一
第1話 サモンとテイムと美少女と世界最強の俺
[それでは今から簡単な質問を行います。]
[世界で一番強い男と世界で一番かっこいい男のどちらになりたいですか?]
これはかなり迷うな。でもやっぱり強い男かな。
[女性は一人を愛するタイプですか?それともハーレムを目指すタイプですか?]
もちろんハーレム。この話をクラスの友人にしたらめちゃくちゃ嫌な顔をされて引かれたことを思い出す。
仕方ねーじゃん。まあハーレムになったらみんなを平等に愛しますよっと。
[では人を従える者と従えられる者。どちらになりたいですか?]
もちろん従える者。と思ったが姫に使える騎士だったり幼馴染的存在に振り回されるのもいいな。
ということで従えられる者っと。
[では最後に、異世界は好きですか?]
もちろんYES。最大級のYES。
[ありがとうございました。該当の作品はこちらになります。]
「さーて今日は何をしようかな。」
今までの質問はノベルゲーム販売サイトの詳細検索だ。
有名どころや過去の名作はあらかたやってしまった俺は隠れた名作を探すためにAIによる質問に答えていたのだ。
「詳細検索って言っても結構あるな。」
そこにはすでにプレイしたものや見たこともないもの、有名企業が作成したものから個人で作成されたものまで無数の作品が広がっている。
どれもレビューやオススメ度などが詳細に書かれているがあまりこういったものを気にしないのが俺流だ。
誰しも世間の評価と自分の感覚が合わないことがあることはたくさんの作品をプレイしてきてよく分かっている。
「とりあえず絵柄だよな。これ大事。」
そんな中、特に目を引いたのが美しい金髪と碧眼の美少女がローブをまとっている商品だ。
「あれ?販売開始日も販売会社もレビューも、それこそ値段まで書かれてないぞ。バグかな。」
思わず商品をクリックし詳細な商品画面に飛ぶ。
やはりバグっているのかそこには先ほどの美少女がこちらを向いているだけの画面が映っている。
「やっぱり可愛いなこの子。」
大画面になればよりわかる可愛さ。今までキャラデザが褒められていた作品でもここまで可愛い女の子はいなかった。
「くそー。買いたいのにバグっちゃってるしな。とりあえず報告しとくか。」
「…応えよ」
「えっ?」
思わず手が止まる。誰もいないはずの部屋から可愛らしい声がかすかに聞こえたような気がしたからだ。
「…かけに応えよ!」
その声は少しづつ鮮明になってくる。
「…我の呼びかけに応えよ!!」
「えっと。はい。」
別に返事をしたつもりではなかった。ただ思わず言葉を発した瞬間は俺は一瞬でPC画面に体が引きずり込まれる感覚がしてそのまま気を失った。
「起きて!早く起きてください!」
ゆさゆさと揺さぶられる感覚に遠のいていた意識が少しずつ蘇ってくる。
あれ?俺は部屋でゲームを選んでいたはず…それから…。
「お願いします。これに落ちたら私だけ落第なんです。」
「落第ってなに?」
頭が混乱する。
目を覚ますと先ほどの美しい少女が泣きながら俺に抱き着いている。周りには大勢の観衆。
そして目の前には年老いた老人と…。
「なんだこりゃ!?」
「目を覚ましたんですね!ではあのゴーレムを倒してください!!!」
「えっ?俺が倒すの?あのでっかい人型の岩みたいなやつを!?」
「すごい!意思疎通ができます!はい。なんとか倒してください!」
興奮気味に話す美少女の言葉を老人が遮る。
「別に倒す必要はないぞい。ほれリリス。早く召喚獣を操作せい。」
「はい。おじい様!」
美少女は先ほどとは打って変わって晴れやかな表情になると声高らかに叫ぶ。
「さあ召喚獣さん!あのゴーレムをやっつけてください!!!」
その言葉に大きく体が動いた。
俺は立ち上がると地面を一蹴りし、そのままゴーレムの足元までたどり着くと身長の二倍ほどの高さにある腹に向かって思いっきり飛び上がった。
そしてそのまま掌底で打ち抜く。
自分でも不思議だ。平凡な高校生の俺にこんな能力があるわけない。
だが現実に岩の化物はそのまま倒れると砂になって消えた。
「こりゃあ。どうなっとるんじゃわい。」
「すげえ!万年最下位のリリスが先生のゴーレムを倒したぞ。」
「そもそも言葉を理解する召喚獣なんて見たことないわ。」
「結構かっこよくない?」
金髪碧眼の美少女はそんな観衆の声を遮るほど大きな声を上げ抱き着いてくる。
「やりました!ありがとうございます召喚獣さん!」
「うん。わかったから。ちょっと落ち着いて。」
やばい。俺は電脳空間では恋愛マスターだが現実ではからっきしだ。ふわふわした感触と甘い匂いに倒れそうになるのをなんとか抑える。
「言葉を解する召喚獣。そしてこの力。まるで…。これは大変なことが起こるぞい。急いで皆を集めねば…。」
青ざめた顔をして老人がその場を離れていく。
だが誰もが興奮冷められぬ様子でそのことに気づいているのは俺くらいだった。
「みなさん見ましたか。彼が私の自慢の召喚獣さんですー!」
そうして彼女が俺の手を取り腕を高らかに上げようとした時。
俺の背中に何か静電気のようなものが当たった。
「ごめーん。魔法がこっちに来たと思うけどテイムの魔法だから気にしないでね。」
美しい黒髪とその黒い髪より美しい瞳が俺の視界に入る。
その瞬間。
俺の体は大きく動き出すと遠くにある的に向かって先ほどのように飛び掛かると掌底で粉砕する。
「あれー?」
黒髪の美少女は不思議そうな顔をしている。
「どういうことですか!?私の召喚獣さんなのに、なんで他の人の言うことまで聞いちゃうんですかー!」
青ざめている金髪の美少女。
そして頭の冷えた俺は今さら異常な現実を認識した。
これってもしかして異世界召喚ってやつ?チート能力付きの?
こうして俺はテイムされ続ける異世界での不思議な生活が始まったのだ。
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