第二章 別れの前兆

16話

第16話

それから、三ケ月たったある初夏の日。


「最近、駿な。楓、『一年の上月 愛美』っていう子と

 つるんでいるらしいよ」


 同じクラスの女の子が、お弁当を食べている。


「うん。知っているよ。駿が、愛美ちゃんの何か、相談に

 のっているよ。それから、いい天気だから、『屋上で弁当を

 食べているから』って言ってくれる? 駿が戻って来てから

 で、良いから」


 楓は、お弁当を持って、教室から出ていこうとしていた。


「楓、OK」


 同じクラスの女の子が、お弁当を食べながら、左手を上げた。


「頼むよ」


 楓は、一人で屋上へ行った。屋上の隅っこに座って、お弁当を

 膝に置いた。そして、お弁当を開いて食べ始めた。

 

(駿は、まだかなぁ~! )


 屋上の入り口のドアが、ガチャと開いた。


「きっと、駿だ」


 楓は屋上の入り口の方へ見た。

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