21.パーティーと貴族
午後6時になりたくさんの貴族が王城に集まっている。
会場のステージのようになっている場所に国王陛下とその家族が並んでいる。
「皆、遠いところからよくぞ集まってくれた。今宵、将来この国を引っ張っていくであろう若者たちの多くがここに集えたことを嬉しく思う。子どもたちは、今日ここで1人でも心を許せる友を作ってほしいと考えている。それでは、かんぱい」
友を作るねぇ、はてさてどうしたものか。
「カナタ、陛下のところに挨拶に行くぞ」
「わかりました」
前の貴族の陛下への挨拶が終わって、俺たちの番が来た。リオはニコニコしている。
俺たちの前に並んでいた貴族にも男子の子どもがいたがその時の顔とは天と地ほどの差があるだろう。
「カナタよなかなかかっこよく仕上がっているではないか。この格好なら2人の隣を歩いても違和感はなかろうな。」
「はいもちろんですよ。2人の隣に立つためだけにこの服を用意したようなもんですから。」
「カナタくんの服装とても似合っていると思います。」
リオは、顔を真っ赤にしながら俺の服装を褒めてくれた。
「ありがとうございます。リオ様もとても可愛らしいですよ。」
俺が様づけで呼んだ事に少し反応していたが、仕方がないまだ婚約は発表されていないし非公式の場というわけでも無いので、さすがに呼び捨てするわけにはいかないのだ。
まぁ、可愛らしいと褒めると顔を真っ赤にして俯いたところを見て、さらに可愛いと思ってしまった。
「それでは、また後ほど」
こうして俺と父さんは陛下との挨拶を終えた。
陛下に挨拶をした後は、ニーアと一緒に食事をしたりしていた。
「おい、そこのお前」
俺の目の前に立った小太りな感じの子どもが仁王立ちで誰かを呼んでいる。
「ニーアあっちにも美味しそうなのがあるよ。あっちに行ってみよう」
俺は、絡まれたくないという一心でニーアと他の場所に行こうとしたのだが、どうやら、用があるのは俺に対してらしい。
「このフリンクラント伯爵家嫡男のシース様が話しかけているのに無視をするとはどういうつもりだ?」
「「そうだ、そうだ」」
取り巻きが騒ぎ立てる。
「なんの用事ですか?」
「なんで王女様はお前に対して、あんなに笑顔になっていたんだ。そしてなぜこの俺には一切笑顔を見せてくれないんだ。」
「そんなの僕に聞かれてもわかりませんよ。あと僕の名前は、お前ではなくカナタです。」
「そうか。って、そんなわけあるかぁー。なんも無いわけないだろ、しかも今は他の女性しかも、こんなに美しい方と一緒にいるお前ばかりズルイではないか。」
なんだよただの嫉妬か。
「ズルイと言われてもね。」
「この際王女様はどうでも良い。そこの女性、こんな弱そうな男ではなくぜひ私と一緒に食事を楽しみませんか?私なら、あなたに何があっても守って差し上げられます。」
これを聞いたニーアは、俺の方を向いてどうすれば良いかを伺ってきた。
「好きなようにしていいよ。」
俺はニーアにそう伝えた。ニーアは一瞬笑みを浮かべてから口を開く。
「シース様でしたっけ?王女様のことをどうでも良いなんて言って大丈夫なんですか?私は周りに気を配れない人と一緒に食事はしたくないですわ。あともう一つ、あなたはカナタくんの足元にも及ばないくらい弱いと思いますよ。」
おいおい、そんなこと言ったら
「な、なんだ。少し可愛いからと下手にでてあげたら、どうやら立場がわかっていないようですね。あなたなんてその気になれば力づくで言うことを聞かせることもできるんだぞ。」
むかっ、こいつ今力づくでニーアをどうにかできるとか言いやがったな
「きゃーこわーい」
めっちゃ棒読みでそんなこと言いながら俺の後ろに隠れるニーア
「ニーア、好きにして良いとは言ったけど、なんで俺を巻き込むんだよ。」
「だって、カナタくんよりもこんなやつが強いとか認めたくないんだもん」
それは俺もそうだ。というかこんなやつに負ける気はしていない。
「陛下、この騒動を面白がって見てますね。俺の実力がみたいんですよね?ちょうどここに相手してくれそうな今にも暴れ出しそうな子がいるので相手しようと思うんですけど、ここの訓練場少し借りても良いですか?」
「ふむ、確かにお主の実力が見てみたいと言うのも事実だ。本当はよくないんだがな。両者が同意しているなら、訓練場の使用を許可しよう。」
この答えに周りの貴族は驚いたような反応をしていた。
「ありがとうございます。シースくん?許可は貰いました。相手してくれますか?」
「あったりまえだ。負けても文句言うんじゃねぇーぞ。」
俺たちは闘技場へと移動した。
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