18.移動と王都
あの後俺たちは馬車に乗り込み王都への移動を再開した。
今ビーツハート商会の馬車の中には、俺とニーアの2人だけだ。執事さんは、御者と一緒に外にいる。
「カナタ様、改めて先ほどはありがとうございました。」
「別にいいよ。あと、同い年だし敬語は使わないでいいよ。」
「わかったわ。」
「それじゃあ早速聞きたいことがあるんだけど、転生者って本当?」
日本語で聞いてみた。
すると、ニーアは驚いたような反応をしてから警戒心を剥き出しにして、こちらを睨んできた。
「別に敵対したい訳じゃないんだ、俺も転生者だからね。初めて転生者の称号を持っている人を見つけたから嬉しくなっちゃって。」
おれの言葉を一応は信じてくれたらしい。
「質問なんだけど、自分の
「えぇ、一応ユニークスキルについては把握してるわ。ただ、使い方はいまいちよくわかっていないのだけど。」
「おれのユニークなら、きみに能力を教えれると思うけどどうする?」
「それは、使いたいに決まってるじゃない!せっかくの異世界よ。無双してチヤホヤされたいの!あと、『きみ』じゃなくて、ニーアよ。」
なんとニーアも俺と同じように異世界無双したい人だった。嬉しいなぁ。
「やっぱりニーアもそう思うか、俺も同じなんだ。俺と一緒に無双してみない?」
「良いわよ。あなたなら、私のことを高みに連れて行ってくれそうだからね。」
そのあと、俺たちは能力の話や自身が前世で何をしていたかなどを話して盛り上がっていた。
______________
盛り上がっていると、今日泊まる宿がある街についた。ニーアたちも元々寄る予定だったそうなのでちょうどよかった。
宿に泊まる際に問題がおきた。なんとニーアが俺から離れたくないとかなんとか言い出したのだ。
この半日でずいぶんと懐かれたものである。
この様子をみたアイゼンさんはとても驚いていた。彼が言うには、ニーアはあまり人懐こい性格ではないようで、半日でニーアにここまで懐かれた人を見たことがないんだとか。
父さんは、驚きを通りこして飽きれていた。
仕方がないため、父さんたちは、渋々といった感じで俺とニーアを同じ部屋にした。まぁ、まだ子どもだし何か起こるなんてこともないけどね。
その日の夜は、魔法について詳しく教えてあげたり、スキルの詳細を説明してあげたりした。
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翌日
今日で王都に着く予定だ。
「ねぇねぇ、見て。光魔法うまく使えるようになったよ。」
「おっ、レベル上昇が早いなもうLv5か、ニーアは光魔法の適正が特に高いっぽいな。」
そしてさらに、本人はまだ気づいていないようだが適正属性の中に闇属性が増えている。
昨晩俺が闇属性の魔法を見せたら、自分も使いたいとわがままを言っていたんだが、ほんとに使えるようになるとは、しかも一晩で。なんとも末恐ろしい話である。
馬車の窓から王都が見えてきた。まず目に入ったのは、巨大なお城だ。想像の数倍でかい。
王都が見えてきたあたりで父さんが俺たちにこの後のことについて、説明してくれた。
「いいか、今日で王都に着く予定だ。俺とカナタは、着いたらすぐに国王に謁見するように言われているので、そのつもりでいてくれ。だから、悪いが二人が一緒にいれるのは、いったん今日の午前中までだ。謁見が終わったら、商会の方に挨拶に行かせてもらおうと思う」
俺と離れるという話を聞いた時のニーアの落胆する顔はなかなかに面白かった。
父さんはそんなニーアを気にかけてなのか、またすぐに会えることを伝えた。それを聞くと、ニーアは笑顔になった。
王都の中に入ったところで、俺は商会の馬車から家の馬車に乗り換えた。
「それでは、また後で会いましょう。」
「約束ですよ。絶対に来てくださいね」
ニーアが絶対に来いというのだが、その姿が可愛くて、さすがの俺でも落ちそうになる。
「えぇ、絶対に来ますよ」
俺とニーアが約束をしていたとき、父さんとアイゼンさんもこの後の行動の確認などをしていた。
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