9.一人と盗賊

昨日ギルドのお偉いさんが帰ってからすぐに、父さんから今日は一緒に濃魔の森にいけないと伝えられた。

一人で行ったらダメかと尋ねると、父さんは奥深くまで行かないならば良いと言ってくれたので、一人で行こうと思っている。


「カナタ、本当に危ないと思ったらすぐに退いて帰ってくるのよ」

「分かってるよ母さん、二人こそ怪我して帰って来たりしないでよね」

「えぇ、お互いに約束ね」

「はいっ」


ということで、やってきました濃魔の森。一人で入るのは初めてだから、結構緊張してるけど、緊張よりも今日1日でどれだけレベルが上がるかがとても楽しみだ。


ちなみに、俺の現在のレベルは7だが、できれば今日でレベル10くらいまで上がれば良いなと思っている。

これは、俺の体感だから間違っている可能性もあるが、レベル5を超えてから少しレベルが上がりにくくなった気がするから、濃魔の森の浅いところではすぐにレベルが上がりにくくなるだろうと考えている。


最近は、探索に慣れてきて魔力感知を発動することで魔物の位置をある程度把握できるようになって、技術的にも少しずつだが成長できていると実感する。


そして今ちょうど俺の魔力感知に複数のまとまった魔力が引っ掛かった。


近づいてみると、どうやらウルフが6体いるようだが、一体だけ明らかに違う見た目のやつが混じっている。おそらく突然変異したレアケース、すなわち特殊個体であり、経験値を多く得られるチャンスでもある。

今日は運がいいかもな


〜〜知神〜〜

・ウルフ…危険度G 基本的に攻撃的で獲物を見つけるとすぐに襲いかかる修正がある。基本夜行性

・サンウルフ…危険度F 基本の習性はウルフと同じだが、日の光をあびることでステータスに補正が入り強化される。昼行性

〜〜〜〜〜〜


サンウルフを確実に倒すために、まず 周りにいる5体をまとめて倒す。これはウィンドカッターを並列発動することで完了だ。

この並列発動だが、現状ではおんなじ魔法しか発動できないためそこが改善すべき所の一つだ、あとは集中力が必要なため長時間続けることができない。


サンウルフだがこいつは、以前魔法創造で作ったシャドーウィップで串刺しにしてトドメを刺す。


サンウルフにトドメを刺したことでレベルが1つ上がった。


サンウルフを倒してからは、ゴブリンやコボルトといった魔物を20体ほど倒したところでお昼になった。今日は、メイドのミンティがお弁当を作ってくれたので、異空間収納アイテムボックスに入れて持ってきている。ミンティは料理がめちゃくち上手なのでお弁当もとても楽しみにしていたのだ。

「うまいっ」

ついつい口にだしてしまうくらいに美味しい。とても幸せだ。


弁当を半分くらい食べたところで、匂いにつられてきてのかわからないが、コボルトの群れが現れた。なんとびっくり10体もいるではないか。全員俺の経験値になってもらおう。

「おっと、俺の食事を邪魔するのか?それ相応の覚悟はできてるんだろうな。

シャドーウィップ」


しかし濃魔の森で一度に10体のコボルトなんて初めてみたな。帰ったら父さんに話してみよう。


「ごちそうさま」

美味しかった。途中邪魔が入ったがゆっくり休めたし良しとしよう。

現在のレベルは9このペースなら、なんとかレベル10になってから帰れそうだ。


________

時刻は午後3時半頃だろうか、そろそろ狩りを終えて帰ろうかと考えていると。

俺の魔力感知に明らかに魔物のものとは思えない魔力を持った何か(おそらく人間)が複数体近くの山の麓にとまっていた。


何かだけ確認して危険そうなら帰ってから父さんと母さんに報告だな。

念のため魔法創造で行動できるパターンを増やしておく。

今の俺の魔力量なら2つくらい魔法を作ってもちゃんと戦えると踏んでの判断だ。


作った魔法は次の二つ

・フレイムウィング(火,風)炎の羽を背中からだして空を飛ぶ魔法

・ダークウェポン(闇,空間)影を具現化し武器として扱う魔法

ダークウェポンを作るのに、想定よりも魔力を使ってしまったが、まあ、自衛くらいはできると思うので問題ないだろう。


大柄な男が部下に指示をだしている

「ここの拠点もじきにバレるだろうからな、明日でここの拠点から移動することになった、今日中に移動の準備を進めてくれ。」

「はっ、わかりました。」


〜〜知神〜〜

スキル『盗聴』の獲得を確認しました。ステータスに反映します

〜〜〜〜〜〜

何やら嫌な名前のスキルを獲得したが今は置いておくとして奴らのリーダーと思われる男を鑑定してみると

名前 カンラー(男)

称号 盗賊 人攫い

レベル 25

能力スキル

・拝借(Lv6)・逃げ足(Lv4)・剣技(Lv7)


必要な情報だけ抜き出すとこんな感じだ。

自分の親が統治している街でこんなことされるのはとても気分が悪い

レベルは俺の倍以上あってなかなか厳しいが勝てなくはなさそうだ。

称号に人攫いというのがあるのがとても気になる。


魔力感知には、戦闘員とは思えないような魔力量の魔力がいくつもあるためおそらく、攫われた人だと思う。


攫われた人がいると分かっていて家に帰るのは、気が引けたので助けることにする。


「まずは洞窟の前にいる見張りを気絶させる。ウィンドショット」

風の弾丸が見張り二人のおでこに直撃し、見事気絶させることに成功した。

まさかこんなに上手くいくとは。


この勢いで中に攻め込む!

































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