職業
夕方から降りだした突然の雨に、俺は足止めをくらっていた。屋根下で暫く雨宿りをしていたものの、しばらく降りやむ気配はなさそうだ。
「仕方ない……」
濡れる覚悟で帰ろうと決めた瞬間。背後から知り合いに肩を叩かれた。
「よっ!」
「なんだ。アンタも来てたのか」
今しがた建物から出てきたであろう彼は、生憎の天気を見て溜め息を吐いた。
「はぁ~。朝の予報じゃあ雨はなかったろ」
「しょうがないさ。予報なんだから」
「そう!それだよ!普通の企業じゃあ間違った事を報告したら上司に怒られるのに、気象予報士は『予報だから間違っても仕方ないんです』ってスタンスだろ?そのクセ高給取りだ……気に食わねぇ」
結局はやっかみか……。それに、我々にはその点を論ずる資格もない。
「それは、普通の企業の場合だろう。俺達は……な?」
「まあ、確かに。報告する上司もいないしな……」
なんとなく気まずくなった俺達は、雨の中ハローワークを飛び出し、帰路についたのだった。
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