　ある日、地球のどこかに宇宙船と思しき物体が着陸した。

　中から現れた宇宙人は、地球より遥かに優れた文明を有しており、即座に地球人の言葉を理解してみせた。

「是非、あなた方地球人の歴史を知りたい」

　彼らの言葉に、地球の人々は喜んで自分達の歴史を語った。

　数々の地球史を聞くなかで、宇宙人達は一つの疑問を挙げる。

「何故、戦争というものは起こるのだ？我々には他者を攻撃するという発想は無かったのだが……」

　その言葉を聞いた地球の代表は答えた。

「それは素晴らしいことですね。ですが、我々地球人は愚かにも、暴力で問題を解決してきたのです」

「暴力で？」

「はい。土地や食糧が足りなければ、奪えばいい。意見が食い違えば、力ずくで従えればいい。そんな野蛮な考えから戦争は起こってきたのです」

　恥じる様に語る代表を尻目に、宇宙人達はざわざわと動揺を隠せないでいた。

「他者から奪う？そんな発想が……」

「力ずくで従える、か。成る程……」

　地球の……、日本の言葉で例えるなら"目から鱗"。そんな表情を浮かべた宇宙人達はその質問を最後に宇宙へと帰っていった。

　その後すぐ。地球を巻き込んだ宇宙戦争が勃発したのは、言うまでもないだろう。

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