　ある日、地獄で責め苦を受ける罪人達が待遇の改善を求め、閻魔大王に抗議をした。

「我々にだって人権がある！もっと配慮した刑罰にしろ！」

　罪人達のその言葉に、閻魔大王は赤い顔を更に真っ赤にすると、語気を強めた。

「生前散々人様に迷惑をかけて、自分達の人権は守れだと？ふざけるのも大概にしろ！」

　そんな閻魔大王を宥める様に、罪人の輪から一人の男が歩み出た。

「まあまあ、閻魔様。ここは死後の沙汰を下す場所。ならば我々の待遇改善は裁判によって決定してはどうですか？」

「ふん、面白い。何か勝算があるみたいだな」

　閻魔大王の言葉に、男は張り付けたような笑顔で返した。

「ええ。地獄（こっち）には、優秀な弁護士が沢山いますので」

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