父の癖

「じゃあ、次はたかし君。作文を読んで」

「はい!」


 たかしは先生に促されるまま、昨日の宿題だった『家族』についての作文を、声に出して読み上げ始めた。


「僕のパパとママはとっても仲良しです。前も、夜中に裸でプロレスごっこをして遊んでいました」

「あっ!ちょ、ちょっとストップ、たかし君」

「?」


 先生の制止に、たかしは首を傾げる。


「いや、ほら。例えごっこでもさ、そういう暴力的なことをご両親がしてる話をするのは、先生どうかな~って思うな」


 恐らくは、たまたまたかし君が両親の夜の営みを見てしまったのだろう。そんな気まずさから、見え見えの言い訳で話を制止しようとする。だが、先生はたかしの次の言葉に耳を疑った。


「大丈夫だよ。ママの相手は知らないおじさんだったもん」

「!!」

「パパは審判やってた」

「!?」

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