七:デルタディメンションポケットの力



 ネオ・トヨスの地下鉄廃路線の暗闇を進むデルタとパイ。ようやく地上へと続く細い階段を見つけたが、その上には反AI組織の見張りが立ちはだかっていた。無警戒に進むわけにはいかない。

「せやけど、このままじゃ地上に出られへんやんか……どうするつもり?」 パイが不安げに囁くと、デルタも見張りの動きを見据えながら考え込んでいた。


 パイがふと足元に転がるドローンの残骸を拾い上げ、先ほど転売テレポートで奪った懐中電灯を取り出す。「これ、うまく組み合わせられたら、何かに使えるかもしれんけどなぁ」

 その言葉を聞いたデルタの目が光る。「…お任せいただけますか、パイさん? これをわたくしが活用しますわ!」

「お、おう? ほな、頼んだで?」 パイがやや戸惑いつつ懐中電灯を差し出すと、デルタは静かにそれを受け取り、一歩引いて構えた。


 デルタはお腹のあたりにそっと手を添え、真剣な表情で力強く宣言する。

「D・D・P~!」

 その瞬間、デルタの周囲に三角形の幾何学模様が光り輝き、空気を震わせながら広がっていく。薄闇を切り裂くかのように、無数の光の粒が舞い上がり、デルタの身体を包み込む幻想的な光景が広がる。彼女はポケットに手を入れ、優雅に微笑むと、再び口を開く。

「デルタ・ディメンション・ポケット、ですわ~っ!」

 デルタが懐中電灯とドローンの残骸をポケットに入れると、周囲の光が収束し、ポケットから新たなドローンが具現化されていく。まるで魔法のように、完成されたドローンが静かに浮き上がり、装備されたライトが暗いトンネルを鮮やかに照らし出した。

「う、うそやん……本当に合体したんか!? どないなっとんねん!」 パイが驚愕の声を上げる中、デルタは誇らしげに微笑み、ドローンが見張りの死角を作り出していく。

「これで進むべき道が見えますわね。さあ、パイさん、先に進みましょう」

 デルタが静かに告げると、パイはまだ驚きの余韻を隠せないまま、「あんた、ほんまにすごいな…!」と小さく囁いた。


 二人は生まれ変わったドローンの光を頼りに、階段を一歩一歩上がっていく。敵に気づかれないよう、けれど決然とした足取りで、二人は新たな一歩を踏み出した。

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