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今だとばかりに主の部屋にこっそり入る。殺風景な室内はガランとしている。鍵はどこかと探し始める。

タンスの中もベッドの上も下も探すも見当たらない。


ふと写真立てに目がいく、主と見知らぬ女性の姿だ。

カタンッと音がする、鍵だ。


あの扉の鍵穴に差し込む、カチャッ。青年は片手に杖、もう片手にロウソク持ち階段を静かに一段一段と降り始めた。


古いレンガの壁に、ロウの灯りでゆらゆら揺れる青年の影。ポトッポトッ、雫のたれる音に緊張感が煽られる。


階段を降りると奥に小さな灯がうっすらと見える。

小さな扉が少し開いている、ゆっくりとのぞく青年。


そこにはイスに腰かけた人の姿。背もたれから見える長い髪、女性⁈

窓のないまるで牢のような部屋。


青年は足音を立てないよう少し近づいた。イスに座る女の身体に縄らしき物が見える。

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