第5話:文豪の連続予告殺人の内容
『2件目は箱入り娘だ。箱入り娘を殺る。送られてきた箱は早めに開けることをおすすめする』
これは「文豪」が送ってきた小説の一節だった。死体(実際には生きていたので、正確には死体ではないが)がバラバラにされて宅配便で送られてきたというショッキングな内容はマスコミに公表されなかった。警察の依頼か、マスコミの忖度かは不明だが、いずれにしてもそのまま世の中に出していい情報ではなかった。
それ故、央端社はその事件に気づかず、この原稿を警察に届けるまでしばらく時間が空いた。前回同様、WEB上に短縮版とも言える短いエピソードが公開され「箱入り殺人」の話は世に知れ渡ることになる。
央端社からの原稿は詳細が記載されていて、提出されるまで警察が事の詳細を知るのが遅れることになった。それには被害者の名前、住所、拉致方法から身体の切断方法まで書かれていた。その部分は小説としては適しないほど生々しくてこのまま世に出てはいけないと思われるものだった。
花園芽亜里の生死は、生きていることが分かると「文豪」が追加で危害を加えてくることが予想されたので秘匿された。
これらの事からマスコミに流れた情報はふわふわしたものとなり、WEB小説の閲覧数は格段に上がることになった。もっともネット上では「箱入り娘」がトレンド入りして世を騒がせた。
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