第2話:ネットの掲示板の反応 1件目
ネットの掲示板の反応)
ここはネット上の掲示板、犯罪分析が好きな人間が集まって話題のニュースについて好き勝手言う(書き込む)掲示板だ。その名を「犯罪捜査研究室」。
室長はリーダー的な存在で話題のピックアップをしていた。最近はあまり目ぼしいニュースが無かったからか、この「小説予告殺人」が取り上げられた。
室長「今度は『小説予告殺人』を取り上げたいと思う」
リーマン「でも、それまだニュースとかにもなってないし、実際のことかも分からないんだろ!?」
リーマンはサラリーマンから来ているとは思われるが、本当にサラリーマンかどうかは本人しかわからない。匿名で定期的に集まっている掲示板だが、お互いはオンラインだけの関係でリアルでは連絡も取り合っていない。ネットとはそんなものだ。
室長「僕たちでどの自殺がそれか特定できないかな?」
キャバ「無理でしょ! 自殺者のニュースとかやってないし! ニュースでは明らかな自殺でも『自殺』って言わないんだから」
キャバはキャバ嬢だろう。しかし、彼女もまた本物のキャバ嬢かは分からない。
室長「小説に詳しい描写が入ってるから、追いかければ分からないかな?」
インテリ「令和5年の日本国内の視察者は21,837人。前の年から44人減ったらしいけど、毎年こんなもんです。2万人から特定するのは難しいと思います」
インテリは知識人という意味なのか、職業がインテリア関係なのか、はたまたいい加減な設定なのか。
キャバ嬢「マジ!? そんなに死んでんの!?」
主婦「そう言えば、日本の自殺率は先進国で1番だってワイドショーで言ってた」
主婦は本当に主婦かもしれない。ワイドショーネタの発言も多く、普段からワイドショーをよく見ていることが察せられた。
リーマン「日本終わった……」
インテリ「たしか、先進国だけじゃなくて、全世界でも9位くらいだったような……」
リーマン「日本終わったわ」
たしかに2万人から一人の特定は無理に思えた。しかし、ここで室長が追加情報を投入した。
室長「僕は件の小説を読んでみたんだけど、住所は福岡市って書いてあったんだ」
インテリ「福岡市は人口165万人で、年間自殺者は……およそ300人くらい」
リーマン「だいぶ減ったな」
キャバ「先に2万人を見たからね」
ここで出てきた約300人というのは、あくまで去年までの数字。今年は同じくらいとしてもその300人をリストアップなどできない。全数が分からないのだから、絞り込みもできない。
室長「まあ、頭の体操だと思って調べてみよう。他に目ぼしい事件もないことだし」
インテリ「僕はその小説を読んでないので、読み込んでみます。なにか手がかりがあるかもしれないし」
リーマン「俺も通勤途中にでも読んでみる」
キャバ「あたし活字苦手」
主婦「わたしもゆっくり読む時間がないです」
主婦は無限に終わらない仕事、家事がある。時間は作らなければ空かないのかもしれない。要するに、それほど興味がなく読みたくなかったのだろう。
室長「じゃあ、次回までおのおの調べてみよう。新しい話題ができたらそちらにシフトするかもしれない」
インテリ「分かった」
リーマン「りょ」
キャバ「はーい」
主婦「了解しました」
この日の分の掲示板はここまでだった。
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