マンツーマンジムに行って10キロ太った話
すず
第1話 ダイエット
20歳。8月に誕生日を迎えたばかりだ。
そして、成人式が1月にある。
その頃の私(すず)は、朝から晩まで暇さえあればダイエットにまつわる動画を見ていた。
理由は、周りが振り向くほどキレイになって成人式に出席したかったからだ。
私の体型は身長と体重で見ると普通体型だが、下半身がずっしりしていて足が太い。
スラッとした足に憧れていた。
「成人式までに痩せるにはやっぱりジムが1番良さそうだなー」
CMを見ながらそう呟いた。
当時CMで◯イザップがよく流れていた。
世間では、糖質制限ブームが起きロカボ商品が流行り出した頃だ。
ダイエットは今までしたことがなかった。
1番最初に始めたダイエットがその頃だった。
たくさんのダイエット動画を見て得た知識で1週間ほどダイエットをした。
しかし、すぐに挫折した。
確か、カロリー計算をして、鶏胸肉を食べて、夜は食べないダイエットだった気がする。
自分1人ではダイエットはできない。
と思い、ジムに通うことを決意した。
しかし、決意したのは良いものの、問題点があった。
それは、料金が高いことだ。
◯イザップよりも安いところを見つけたが、それでも2ヶ月コースで20万円越えだった。
本業だけでは払えない金額だった。
「バイトするか」
そして、バイトを探し始めた。
いかに早くたくさん稼ぐか、を重視した結果、居酒屋でバイトすることを決めた。
今となってはもっと良いところあったでしょう。とツッコミを入れたくなるが、駅の裏側の居酒屋だ。
とても繁栄していた。
アルバイトサイトから応募し、採用担当から電話をいただき、面接の日が決まった。
面接当日15時ごろだったか、緊張して飛び出そうになる心臓を抑えながら、お客さんがいない居酒屋の店内に入った。
入り口の音が鳴ったため奥から人が来る。
「あ...えと...バイトの面接で来ました...坂上で...と申します...」
緊張して声が思う様に出なかった。
30歳くらいの男性店員さんが口を開く。
「あぁ!坂上さんね!じゃー、どうしようかな、ここでやろうか。じゃここ座って。」
入り口から1番近い半個室タイプの掘りごたつに案内してくださった。
「あ...はい...失礼します...」
「まず、私は店長の相田です。よろしくお願いします」
男性店員さん改め店長が名札を見せて名乗った。
私は緊張してその名札に目もくれず店長の胸元あたりを見ながら軽くお辞儀して「あ...はい...よろしくお願いします」と言った。
履歴書はその場で書いたんだか、持って行ったんだかよく覚えていないが、履歴書を見ながら面接が進んでいった。
「希望が週5回だね?がんばるねー。22時からラストまで入れるんだね。」
「はい...はは」
緊張のあまり変な笑いを入れてしまう。
「副業なのに、こんなに働いたら本業に響かない?大丈夫?」
と聞かれた。正直、やってみないとわからないけれど、高校生の頃は部活もしながらバイトを3つ掛け持ちしていた。多分いけるだろうと考えていた。
「はい...大丈夫だと思います...。」
「まぁ飲食店も経験したことあるという事だし、ウチ的にはもう採用でいいと思ってるんだけど大丈夫?」
店長はそう言った。
えっ。こんなにあっさり決まることってあるのか?
あまりにもあっさり決まったので拍子抜けした。
「あっ...えっ...ありがとうございます、大丈夫です。」
「でねたくさん稼ぎたいと思うけど副業だから確か規定があったと思うんだよねー2ヶ月連続で何万超えたらダメとか、、あとで調べておくけど、とにかくそれを超えない様に調整してシフト組むから、そこは宜しくね。入りたい日とか時間とかの希望は1週間ごとに出してくれればいいから。」
「はい...分かりました!ありがとうございます。」
目標は1ヶ月10万円稼ぐことだった。
本業が残業含めて18時ごろに終わる。
その後平日は22時から3時まで、金土日が22時から5時までは居酒屋で働こうと計画を立てた。
何度でも言うが、もっと良い働き場所はたくさんあったのだが、当時は気づかなかったのだ。深夜22時から増えるといった、時給を重視していた。
そして、居酒屋から家までは20分かかる。さらに家から本業の職場までは40分かかる。
本業の方では遅番、早番などがあるが大体6時半出勤で18時に終わる。そこから家に帰ってご飯を食べてお風呂に入って、仮眠をとって22時から居酒屋で働く。
5時に居酒屋が終わったら直ぐに車で本業に向かえば間に合う!と言うスケジュール計画だ。
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