殺人人形と欠陥研究者の歪な愛情表現
山親爺大将
第1話 研究員
「おい、良いのか?」
真夜中の施設に中で研究者のような白衣を着た男が小声で話しかけた。
「かまやしねぇって、どうせそのつもりで作ってあるんだ! 俺たちがちゃんと機能するか試したってバチはあたらねぇだろ!」
そう返事をした男も同じような格好をしている。
二入とも若い。
その二人が忍び込んできたのは自分たちの研究施設のとある一画だ。
そこの殺風景な台の上に一人の少女が全裸で横たわっていた。
「しっかし、こうやって見ると人間にしか見えないな!」
「ホムンクルスは基本的に人間の遺伝子をベースにしてるからな、今はダンジョンから色々な遺伝子が採取出来るから、人間とは似ても似つかぬものになる事もあるが、これは数少ない成功例だな」
Monster(モンスター) Swift(迅速) Killer(殺害)
この頭文字をとって、MSK計画というものが国をあげて実施された。
現代世界にダンジョンが現れてはや十年。
日本では政府の対応が後手後手に回ったため、民間の探索者達が隆盛を極めていた。
ダンジョン内ではダンジョン内のルールが蔓延り、ダンジョンは治外法権。
これが世の中の常識となっていった。
だがそれを国はよしとしなかった。
国はダンジョン内でも主導権を握るための様々な計画を立てた。
その一つがMSK計画。
モンスター制圧用の人工生命体を作り出す計画である。
皮肉にもダンジョンという存在が人工生命体の実用化を現実のものとした。
そして出来上がった実験体『試作型MSK1』通称ミサキである。
「で、なんでこの化け物はセックス出来る機能があるんだ?」
「建前ではオークやゴブリンなどは人間の女を犯すからな、わざとにやらせて油断してるところを倒すって事になってるらしい」
「コイツ、戦闘用なのにオークやゴブリンにも勝てないのか?」
「そんな訳ねぇよ、実際はコイツらを丈夫な愛玩物として飼って、性癖をぶちまけたい偉いさん方が多数いるって話だ」
「国民の税金使って、自分達の性癖を満足させようとしてるのか! この国も終わりだな!」
「ま、それを先に頂いちまおうって俺らも大概だがな」
男はそう言いながら、下半身を露出させ、台の上に乗りいたし始めた。
「声も出さないのか、なんか死体抱いてるみたいだな」
「確かにな、だけどこいつは丈夫だから、普通の人間じゃ出来ないような残虐プレイも出来るぞ」
「どういう意味だ?」
「ストレス発散にはもってこいって事だよ、そっちからハンマー持ってきてくれ」
「なんでハンマーがあるんだ?」
「俺が持ち込んだからに決まってるだろ」
「それでどうするんだ?」
「こうするんだよ!」
そう言って、ハンマーで横たわる女の子を殴りつける。
こうして夜は更けていった。
翌日の新聞ではこういう記事が載った。
MSK研究員、ゴブリンと間違われて死亡か!?
試験機と無断で性行為! 対モンスター機能が作動し死亡。
公共物を無断使用中に事故か?
施設側は実装済みの能力が正常に作動しただけ、実験段階でモンスターと人間を区別する機能はまだ研究中と発表。
マスコミは性行為を行った研究員に問題があり、ホムンクルスは当初から想定していたものが発動しただけで、今後セーフティ機能などを研究していく段階で何も問題が無いと報道した。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
長編も書いているので良ければ見てください!
https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826
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殺人人形と欠陥研究者の歪な愛情表現 山親爺大将 @yamaoyajitaisho
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