第9話:星の異常も探せ!

 星の歴史の授業は、その後も年表とか、街の発展の様子とかそんなものを見ながら、あっという間に終わった。

 僕は星と理科は大好きだったけど、自分の学校で教わる歴史の授業ってそんなに好きじゃなかった。でも、こうやって聞くととても楽しいんだなって思っていた。

 今、あらためて聞いたら学校の授業も楽しいのかしら、夏休みが終わったらちゃんと興味持って聞いてみよう、なんて思ったりもしていた。


 授業が終わったあとは、僕とステラはまた職員室に向かう。

「というわけで、今日もまた二人には星の石探しをつづけてもらいます」

「はい、わかっています。早く解決しなければなりませんから」

 ステラの言葉は昨日より、二人でやることに前向きな気がしてうれしかった。

 だから僕も、

「今日こそ、みつけよう! がんばろうね!」と元気に言った。

「ええ、お願いいたします」

 ステラの返事はまだ少しそっけない感じがある。もう少しがんばらないと。

「さて、星の石を探してもらっていましたが、もう一つ調べてほしいことがあります」

「なに?」

「すい星が青い星に落ちていく原因です。星太くんは星に詳しいはずなので知っているかもしれませんが、普通星が軌道をそれることなどありません」

「だよね。何百年も何千年も、同じ軌道を動きつづけるものだもんね」

 言われて気がついた。たしかにおかしい。星はそんなに簡単に動けない。

「はい、だからすい星の軌道が変わったことには、なにか理由があるはずなのです。もちろんまずは星の石を探してもらうことが重要ですが、今回解決してもまた落ちることがないように、原因も探してください」

「わかったよ! ……まあそれこそ、どうやって調べたらいいのかわからないけど」

「ですね、これ以上あてもない調査が増えるのはごめんです。トラウムには、なにか目星はついているのですか?」

 ステラが苦い顔をして言う。

「いや、今のところは。ただ、さっきの授業でも言ったとおり、このすい星に働く大きな力と言えば、星の石と星の姫です。その二つの異常を考えるのがよいでしょう」

「星の石はともかく、星の姫も? ようはステラに何か問題があるってこと?」

 なんだかステラを悪く言われたような気がして、つい強く言ってしまう。

「そういうわけではありません。そもそも今の段階では、情報がありませんので。ただ異常があるとして、疑うならそれくらいしか考えられないと言うことです。もちろん、星の外に何か問題があるという可能性もありますが、調べるのが難しい」

「しょうちいたしました。自分のことはわかりませんが。ついでに調べます」

「よろしくお願いしますね」

 自分のことなのに、ステラは強いなあ。


「じゃあ、今日も星の石探しはじめようか」

 なんとなく僕が言い出してみた。ふんいきを変えたかったのも少しあったと思う。

「そうですね。では、星石コンパスを今日も起動してみましょう。おそらく今日の授業で星太くんの情報が増えていますので、昨日よりも正確にわかると思います」

「うん、そうだといいな」

 僕は手をコンパスにあてる。そして目を閉じて星の石をイメージする。

 この星の願いをかなえてきた大事な石で、星の姫と通じている不思議な石。絶対とりもどさなくちゃならない。そんなことを思った。

 まぶたごしに光が感じられた、昨日よりもあったかいのが強い気がする。

「白い石が光っています」

 ステラの声に目を開けると、確かに真ん中の白い石が光っていた。

 一個の石かと思っていたけど、実は上下二つの石がくっついているみたいで、下の石だけが真っ白に光っている。

「昨日より強い反応が出ていますね。授業の効果があったようです」

「よかったー」

 昨日よりもより星の石に近づけそうだ。勉強って大事だなって、こんなところで感じるとは思わなかったけど。

「下の石が光っていると言うことは、ここよりも低いところにありそうですね。高いところにあれば上半分が、同じくらいの高さなら両方が光るようになっています」

「となると、ここが二階ですので、一階ということになるでしょうか。方向的に昨日探さなかった図書室が怪しいですね」

「おっけー! じゃあ図書室に行ってみようよ」


 僕はステラの手をつかんで、職員室をでていく。

「あ……」

「なに?」

 その声にステラを見ると、僕がつかんだ手をじっと見ていた。

「あ、その、ごめん! つい、勢いで」あわてて手をはなす。

「い、いえ、かまいません。急でおどろいただけです。別に星太さんは悪くありません」

 トラウムを見るとなんだか、ニヤニヤしているように見える。

 急にはずかしくなってきて、急ぎ足で僕は歩き出した。

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