籠の鳥

最後に飛んだのはいつだったかな

その羽根、綺麗だね

つやつや、きらきら

飛ぶのは、才能がないね

ダメダメ、落第点だよ

そうだ、

籠に入れておこう、

飛ばなくていいよ、飛ぶ才能がないからね

君は羽根が綺麗だから、そこを磨いておけばいいよ

籠にぎゅうぎゅうと押し込んだ

逃げ出さないように枷をつけておこう

羽根を磨いて、そうだ、歌を、歌を歌いなよ

出来るだろう？

何？全然出来ないじゃないか

失望したよ、羽根こそ綺麗だけど

飛ぶことも歌うことも出来ないじゃないか

これはこれは失敗作

なぁんにもできないんだね

まぁいいよ、どうせ君はそこから出られない

せいぜいヘタクソな歌の練習でもしていればいいよ

"普通"になれたら、たまに出してあげてもいいよ

羽根"だけ"は綺麗だから、生かしてあげるよ

優しいでしょう？

――――――――――――

わたし、わたしは――。

ここから出られない――。

歌、全然上手に出来ないや

こんな狭い鳥籠で、しかも枷がついてちゃ飛ぶことだって満足にできない

ピィーチチチ……バサバサッ

籠の外の子達は今日も元気だ

「みんなは、何でも出来るなぁ……」

羽根、羽根を磨かないと……せめて……羽根だけは……

そんな日々が続いた

ある日

―――――――――――

ガシャン――。

え？

籠が、壊れた。

わたしを閉じ込めた奴はもう居ない――？

自由、自由だ、どこへでも行ける

どこへでも、行ける、そのはずなのに……

「おかしいな、飛び方が分からないや」