クラス転移で得たスキルは催眠だったので、異世界の女の子に催眠をかけまくってみた。

イコ

序章 俺のスキルは催眠

 よくあるだろ? 眩い光に包まれたら、そこは異世界だった。えっ? ない? だけど、実際に俺にはあったんだよ。

 

「ようこそ、リュミエール王国へ!」


 目を覚ました俺の周りにはさっきまで一緒にいたクラスメイトたちの顔が並んでいる。壮麗な城の大広間で見知らぬ光景に囲まれていた。


 中世風の城壁、甲冑を着た兵士たち、そして玉座に座る王様。本当に異世界転生なんて起きるのか? 驚きと興奮でざわつく中、俺、金城才人カネシロサイトはクラスメイトたちと一緒にその場に立ち尽くしていた。


「おめでとう、皆さんは我が王国の戦士として召喚されました」


 中年で冴えなさそうなの妙に迫力がある雰囲気をした王様から発せられた言葉に、戸惑いを感じる。


「戦士?」


 誰かが発した言葉に俺も反応するが、頭の中では内心でワクワクしている自分もいた。


「そうです。君たちに殺し合いをしていただきます」

「なっ?!」

「おい! なんでそんなことしないといけないんだよ!」

「誰が人殺しなんか?!」

「はは、君たちはいつも同じ反応ですね。まぁ話は最後まで聞きなさい。良いですか? 君たちには現在、人としての価値がありません。人権がないのです」


 王の言葉に息をのむ。確かにこちらに召喚されて、何も知らない俺たちに人権はない。


「ウルセェよ! お前らが勝手に召喚したんだろうが!?」

「家に帰してよ!」


 それでも騒ぐ一人の生徒が騎士に首を刎ね飛ばされた。


 それは現実で、嘔吐する者や恐怖で涙する者。パニックというのはこのことを言うんだろうな。


「ふむ。一人減ってしまったが、まぁ良い。だが話を聞かない者が悪いのぅ。さて、残された者たちよ。貴殿らは話を聞くと言うことでいいな?」


 誰もが言葉を発することができなくなり、ただ王様の話を聞くことしかできない。


「良い良い、それでは続きを話そう。貴殿らを戦士として召喚された。つまり戦士として価値が認められれば人権を与える。もちろん、活躍に応じて地位も、名誉も、金銀財宝も与えよう。どうだろう? 悪い話ではないだろう」


 王の話を聞いてクラスの委員長的が手を挙げる。

 メガネにインテリ風のイケメンは、こんな時でも冷静なようだ。


「質問よろしいでしょうか?」

「よかろう許可しよう」

「あなた様は王様だとお見受けしますが?」

「そうだ。このリュミュエール王国の王である」

「それでは王様、我々は異界では戦闘などしたことがありません。戦士として召喚されて、何も持たずに戦場に放り出されては死ぬだけです。ご慈悲はないのですか?」


 おお! さすがは委員長。頭がいい。


 確かにこう言う時は異世界から召喚されてチートスキルとか、レベルアップの手伝いとかがついてくるよな。


「良き質問である。貴殿らは、それぞれが異世界からこちらに召喚される際に、才能を開花させているはずだ。それは特別なスキルとして宿っている。その力を使って、この戦乱の時代を共に戦い抜く仲間となっていこうではないか」


 王の言葉に戸惑いが生まれる。

 

 スキルというのは、やっぱりゲームやアニメのような展開だ。


 クラスの連中の中にも興奮を隠しきれない奴がいる。俺も一瞬、心の中で喜びを感じたが――それはすぐに吹き飛んだ。


「さあ、スキルを確認してもらいましょう」


 一人ずつ順番にスキルが明らかにされていく。先頭にいたクラスの人気者、吉田健が高らかに手を挙げ、スキルを確認すると――


「『火炎魔法・烈火の腕』!?」

「すげえ!」


 彼の腕に火が灯り、まるで炎の剣士のように輝いていた。クラス全員が感嘆の声を上げ、次々と他のクラスメイトも強力なスキルを披露していく。


「雷撃」「風刃」「回復魔法」など、有名なスキルが次々とクラスメイトたちが開花させていく。


 そして、ついに俺の番が来た。


「金城才人。スキルは……『催眠』」

「催眠?」


 周囲が首を傾げる。俺も自分のスキルの内容がよくわからないまま、王国の魔導師に説明を求めた。


「うむ……どうやら五円玉?を振って、対象を眠らせるスキルのようです」

「は?」


 魔導師は真顔で言ったが、俺は自分の耳を疑った。まさかと思い、財布から入っていた五円玉に紐を通して、軽く振ってみた。


「だんだん……あなたは眠くなる……」


 クラスの誰もがじっと俺を見つめているが、何も起こらない。


 試しに吉田に向けて振ってみると、吉田がちょっと不愉快そうに顔をしかめる。


「おい、それマジかよ……何だその冗談みたいなスキル」


 吉田が呆れたように言い、クラス全員が一斉に笑い出した。自分でも冗談かと思いたいが、どうやら本当にこれが俺のスキルらしい。


「いや、待って、これは何かの間違いだろ……」

「間違いじゃないさ」


 王が冷たく言い放つ。


「残念だが、君のスキルは我が国の役に立たない。戦闘向きでもなければ、兵士としての価値もない。追放だな」

「追放!?」


 俺は愕然とした。いきなり異世界に召喚されて、いきなり追放?スキルがしょぼいからって、それで捨てられるのか?


「王様! これから頑張り次第で覚醒するとかあるじゃないですか?!」

「いいや、その前に死ぬのが落ちだ。これは慈悲である。戦士として人権を与えてはやれぬが、我が国で一ヶ月過ごす猶予を与えてやろう。その間に人権を勝ち取るなり、功績を上げてみよ。でなければ国外に出て行ってもらう」


 無情な言葉に、クラスメイトたちはさっきの笑いとは違う空気を感じ取ったのか、みんな一様に黙り込んだ。だが、その沈黙も一瞬で破れた。


「まあ、仕方ないよな」

「俺だったらああなりたくないよ」

「せっかく異世界に来たのに、クズスキルかよ」


 クラスメイトたちの嘲笑が再び響き渡り、俺は打ちのめされた気分だった。ここで初めて、本当に俺がどうしようもない存在であることが確定したんだと痛感する。


 追放、それは異世界における無力な者の末路。


 俺はその道を、初めから歩むことになるなんて。


 王国の兵士たちに連れられ、俺はリュミュエールの城を後にした。


 後ろでは、クラスメイトたちが戦士としての役割を与えられ、新たな世界での冒険が始まろうとしている。


 一人取り残された俺には、ただ五円玉が揺れる音だけが虚しく響いていた。


 これが、俺の異世界転生の始まりだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 久しぶりの思いつきは投稿です。


 全く先は何も考えてませんw


 投稿が続くかも不明ですw


 皆さんの暇つぶしになれば嬉しいです。

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