依頼編① 恋人殺し
第25話
◇
陰湿な空気の漂う、人気のない墓地。
墓石の影に身を潜ませていると、恐る恐ると黒い装いの人物が現れる。
「‥‥あなたが、ジャンヌダルクさんですか?」
肯定の意を込め、世間ではジャンヌダルクの象徴とされている大剣を具現化する。
自身の身長と変わらないくらいの剣を常に所持して彷徨く訳にもいかず、普段はとある能力者が開発した擬似空間に物体を収納する指輪、通称〝ストレージリング〟に収納している。
希少価値のある指輪に、大剣を見せられて少しは信用出来たのか、胸を撫で下ろしながら距離を縮めた。
『依頼内容を聞きましょう』
変声機を使って尋ねると、固唾を呑むのが分かった。
「あなたへの依頼は他でもありません」
震える手で服の裾を強く握り締めながら、吐き出すように続ける。
「私の、最愛の恋人を」
切実で深い悲しみを背負った悲痛な声だった。
「殺してほしいんです」
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