第7話 あの、ハッピーエンドです。みんな幸せ。ハッピーハッピー!異議は許さん。キャラが幸せなら僕も幸せ。

 「聞いた?」

 「聞いた、聞いた!王様が追放されたって!!」

 「なんでも冤罪で追放された勇者様と王位継承権第一位のクリス王女が手を組んで、王様の不正を弾劾したとか…」

 「クリス王女がそのまま即位だろ?やっぱ、歴代きっての天才だな」

 「若くして勇者パーティーに選ばれるだけあるわよね」

 「勇者パーティーといえば…他はどうなったんだ?」

 「確か、王族直属騎士団のエリン様はクリス王女の近衛兵になって…公爵家のミラ嬢とその妹のノア嬢は王宮で研究員になって姉妹で国の犯罪対策研究をしてるとかか」

 「最近、スリ被害減ったものねぇ」

 「あと、オット様もそのままクリス王女専属の執事に任命されたって」

 「あれ?勇者様は?」

 「あ~勇者様は…」

 「おーい魔王アリスさーん。約束守ったよ~」

 「そんな大声で言わなくてもわかってますから」

 俺は魔王との約束のあと、王女であるクリスと共に王をあの手この手を使い、玉座から引き釣り下ろした。そして、そのままクリスが即位。

 魔族と人間との和平条約を締結した。

 「これにより、ハッピーエンドってね。勇者らしいことできてよかったよ」

 「……君は勇者というより、作者だよ。この個性溢れる世界の、ね」

 アリスはニコッと笑った。やはりその笑顔は美しかった。

 俺はその顔を見ただけで安心して、堕落した毎日を過ごせる。

 勇者は一時休業。有耶無耶のなかで盗んだ財宝で楽してだらだらと暮らすんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ことなかれ勇者 墓守 @ro1014

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ