転生勇者の紀行〜仕方ないので魔王討伐を目指します〜

紅茶

プロローグ

 ────むかしむかし、あるところに立派な国がありました。自然がたくさんあって、いろんな建物があって、人々はみんな笑顔の平和な国でした。


 ところが、ある日、神様は「近いうちに魔王が生まれ、国が滅ぶ」と告げたのです。


 これを聞いた国の人々は恐怖に怯えました。恐怖で仕事や勉強どころではない人々を見た王様は、人々のために、国のために勇者を召喚します。


 勇者は国を救ってくれという王様のお願いを受け入れ、魔王を倒して国を救うと約束してくれました。


 勇者は旅の道中で耳の長い綺麗な魔法使いに小さな狼の戦士、精霊に愛された聖女が仲間になり、色々なトラブルを解決しながら進んでいきます。そして、魔王のいる所へ着きました。


 勇者一行は魔王と戦って、ついに魔王を倒すのです。その時の勇者の姿は神々しかったそうです。


 かくして勇者は国の英雄となり、いつまでも幸せに暮らしました。めでたしめでたし

────。





 「皮肉だよなぁ、英雄だって讃えられてる勇者が今は罪人だなんてな……」


 第一の人生は通り魔に刺されて終了、第二の人生は勇者として魔王と戦ったのに罪人にされてるって……。


 俺の人生波乱万丈すぎないか?


 「はぁ……。行くか」


 草原の小高い丘に腰掛けて空を見上げていたのをやめて、立ち上がる。


 次の目的地に向かうために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る