第73話
用事があるからと、一之瀬組に着くなり無名は出掛けてしまった。
その姿を名残惜しく見送りながら、心細くも時雨の待つ部屋へと向かう。
襖に手を掛けながらも、開けることを何度も躊躇した。
それでも、大きく息を吸い込み勇気を振り絞って開く。
ーーすると、予想とは違った光景がそこに広がっていた。
規則正しく聞こえてくる寝息。
そっと閉じられた瞳。
眉間に寄せられたシワ。
どうやら、寝ているようだった。
気配を消しながらそっと近づく。
蹲み込んで、その寝顔を眺める。
同い年なのに、大人びて感じることが多いが、こうして見るとあどけなくも見える。
眉間の寄せられたシワに触れる。
寝苦しいのか、それとも癖になっているのか。
年を取ったら残ってしまうかもしれない。
せっかく綺麗な顔をしているのにと残念がっていると、何の前触れもなくその瞳が開かれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます