第34話

やけに鮮明に聞こえた声。



その声には、とても聞き覚えがあった。






〝小夜〟



それは、私の名前だ。



母がくれた名前。




それなのに、一度も呼ばれたことのない、私の‥名前。








私を産んだのはお母さんなのに、私に名前をくれたのはお母さんなのに、どうしていないものとして扱うの?



一度だって、一瞬だって、母の視界に入れてもらったことすらない。



抱きしめられるどころか、触れられたことだってない。






要らないの?嫌いなの?私が、邪魔なの?









なら、どうして私を産んだの?




何のために私はここにいるの?

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