第5話
「そして、俺は、同時に自分の最愛の家族を犯罪者にも家族にしてしまった。その事実は、一生俺に付きまとうし、子供に関しては、犯罪者の子供として、もしかしたら学校でいじめにあうかもしれない。それ以上に、今後に子供に人生に悪影響を及ばすかもしれない」
(人生に悪影響が出るかもしれない)
自分が5年前に自首した事で、美緒の人生に悪影響が出ているかも知れない。
渚は、並木の言葉に、胸の痛みを覚えた。
西條から届く手紙には、美緒に関する事が事細かく書かれている。
まるで、四六時中一緒に生活してるぐらい仕事の事からプライベートの事まで細かく書かれていた。
その返事に、渚は、毎月刑務所内で起きた出来事事や自分の体調などを返している。
だか、自分の罪(略奪)のせいで、美緒の今後の人生に悪影響が出ることまでは考えていなかった。
最悪だ。自分は、美緒の婚約者として失格だ。
「あああのなみ…」
並木に、今回の手紙の相手が西條じゃあなくて美緒だとを打ち明けようとした瞬間、その声を被せるように、並木が突然立ち上がる。
「そう言えば、お前、明日出所だよなぁ?」
「ああぁぁはい!」
突然の話題変更に驚きながらも返事を返す。
並木の言う通り、渚は、明日(12月19日)に刑期を終え、刑務所をあとにする。
まさかの美緒に、プロポーズをした5年前のあの日と同じ日に。
「おめでとう。あぁ! おめでとうは、違うか? でもよかったな? お前にも本当は居るんだろう? 大切な人が? お前も待っていてくれている人が?」
「……」
並木翔馬は、気が付いていた。
渚に、大切な女性=美緒が居る事に。
そのことに気づいていながら、気づかないふりをしていたのだ。
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