告白からのプロポーズ

第51話

「……そっか? 胡桃も堂城副編集長の事?」

「……うん」

 二人で誰もいなかった公園のベンチに腰掛けて、同じく公園内にあった自動販売機で買った缶のホットコーヒーを飲みながら、互いの胸の内を話し始める。

「……そっか?」

 小泉璃菜は、初めて聞いた親友、黒木胡桃の堂城誠也の恋ごろに驚きながらも、それを一切に顔には出さず、彼女の話しに耳を傾ける。

「ごめん璃菜。璃菜の堂城副編集長への気持ち知ったのに」

 申しなさげに謝る黒木。

 そんな黒木に璃菜は、コーヒーを飲みながら、

「なんで謝るの?」

「だって? 私……ずっと璃菜の……」

「……胡桃。葉牡丹の花言葉知ってる?」

「葉牡丹って! あの? 門松の飾りによく使われているあの? 葉牡丹?」

「そう? あの葉牡丹」

「んん? 薔薇とかの花言葉だったら解るけど、葉牡丹はちょっと?」

 突然の葉牡丹の話題に涙が引っ込む。

 それどころか、璃菜のいきなりの葉牡丹の話題に胡桃は、首を傾げる。

「今日、胡桃の代わりに、渋谷ちゃんと行った胡桃の大好きな作家若瀬怜音の取材で、若瀬先生に訊かれたの? 2人は、葉牡丹の花言葉を知っていますかって?」

「それで、私達二人とも、答えが解らなかったから、正直に知らないって答えたの?」

「それで、若瀬先生はなんて? 答え教えてくれたんでしょ? 自分から璃菜たちに聞いてきたんだから」

「うん。先生が教えてくれた葉牡丹の花言葉は、祝福:愛を包む:物事に動じない:利益」

「うわぁ! なんか凄いねぇ? 葉牡丹の花言葉。愛はともかく、利益って凄いね?」

「……うん」

「……璃菜?」

 急に、俯き加減になってしまった璃菜の名前を呼ぶ。

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