第32話
「…彼女は、6年前に姿を消した、僕の最愛の人です」
「…泉石」
堂城の呼びかけに、反応する事なく彼の足元にしゃがみ込み彼の足元に飛んで行った古閑美緒の写真が入ったロケットネックレスを大事そうに拾い上げると、彼女の写真をそっと撫で、写真にそっと口づけをかわす。
「渚は、6年間、ずっと彼女の帰りを待ち続けているんです」
「鳴海坂!?」
昴の告白に、堂城は彼の名前を叫ぶ。
「堂城さん。渚が七瀬龍治、穎川泉に近付いてまで、貴方に接近したのは古閑美緒と言う女性を捜し出す為なんです。そして、彼女は渚の居なくなった恋人なんです」
(…恋人? 彼女と泉石が)
堂城には、鳴海坂の言葉がにわかに信用できなかった。
だって、彼女…古閑美緒は、泉石渚の事を…彼の為にも、自分は彼の事を忘れないといけないって言っていた。
それなのに、泉石渚は6年間、自分の事を忘れた彼女の帰りをずっと待ち続けている。
_堂城さん。堂城さんは、自分の大切な人の為に、自分の気持ちを諦めた事はありますか?_
★ ★ ★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます