切ないくらいに君は僕を想って、切ないくらいに僕は君を忘れる

第1話

1月5日 13時 雫丘出版 社員食堂

「春ちゃん! 発見!」

 社員食堂で、遅めのランチを食べていた滝川春の元に、先輩で、同じ部署で働く、上司であり副編集長でも堂城誠也が慌てて様子で食堂に入ってきた。

「どどどどどどどど堂城先輩!」

 滝川は、食べていた日替わりランチのミートソースパスタを驚いて喉に詰まらせてしまった。

「だだだだ大丈夫? 春ちゃん?」

 息が苦しくて、すぐに返事を返すことが出来ない。

 そんな滝川に、堂城が目の前に置いてあった水が入ったコップを慌てて差し出す。

 滝川は、それを掴み、一気に飲み干す。

「はぁ……死ぬかと思った」

 水を一気に飲み干し、どうにか最悪の事態を免れた滝川は、その原因を作った堂城の事を睨みつける。

「ごめん。悪気はなかったんだ」

 急いでいたとはいえ、危うく大事な後輩を死なせる所だった。

「……解ってます。だから、いちごパフェを奢って下さい。それで、許してあげます」

「えっ! いまなんて?」

「だから、いち……先輩! うしろ!」

「!」

 ☆

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