第9話

「……美緒?」

「あぁ! ごめんなさい。もう少しで夕ご飯できるから」

 渚の元を逃げるように走り去った美緒は、そのまま仕事場に行き、いつも通り仕事をこなし、すべてを忘れるために、スーパーで夕飯の材料を大量に買い込み、家に帰るなり夕飯作りに取り掛かった。

「美緒。もしかして体の調子悪い?」

 永輝が、心配そうにリビングから声を掛けてくる。

 彼の声に、美緒は、オーブンから視線を彼に移し、「大丈夫」と首を振る。

「大丈夫ならいいけど」

 永輝は、本当に大丈夫なのかと不安そうに私を見詰めてくる。

「永輝さん。本当に大丈夫だから。でも心配してくれてありがとう」

 美緒は、オーブンから取り出したグラタンを二皿持って、永輝が居るリビングに足を踏み入れた。

☆ ☆ ☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る