第33話
「樹利亜ちゃん!? なに見てるの?」
七瀬龍治に離婚届を突きつけて、離婚が成立してから1ヵ月。
樹利亜は、働いていた出版社を辞め、小さな広告会社に再就職した。
そして、南浜樹利亜として新しい生活をスタートさせた。
「!? 黒木先輩!」
樹利亜は、いきなり現れた直属の上司で、指導係でも黒木絢(くろとあや)が、うしろから、声を掛けてきた。
※年齢は、樹利亜と同じだか、後輩なので先輩と呼んでいる。
「そんなにびっくりする? さては、メール相手旦那でしょ?」
休憩中なのをいいことに、グイグイと樹利亜に自分の体を押し付ける。
「…」
「樹利亜ちゃん? どうしたの?」
絢は、樹利亜の顔を真横から不思議そうに見つめる。
「…先輩。私、独身ですよ?」
_ヒュ_ 冷たい風が吹く音。
絢は、樹利亜の言葉に真冬の雪山に居るような感覚に陥った。
それと同時に、頭の中に社長である綾村紗理奈(あやむらさりな)の言葉が浮かんできた。
※一部抜粋。
(…南浜さんは、先月弁護士さんの助けを受けてようやく元旦那さんとの離婚が成立したんです)
「…樹利亜ちゃん。いまのは…」
_ポンポン_ 肩を叩く音。
「!?」
樹利亜は、驚きの顔を見せている絢に、満面の笑みを見せながら話しかける。
「先輩、私の事、心配して下さったんですよね?」
「…」
絢は、何も言い返す事ができない。
「先輩。よかったらランチ一緒に行きませんか?」
「…ごめん。もう食べてきた」
「じゃあ、ちょっと行ってきますね?」
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