ロリ美少女に擬態するグロテスク宇宙人、地球人抹殺の使命を放棄し、ダンジョン配信者になる~普通の女子中学生の私は、宇宙人のマネージャーに指名されました~
琴珠
第1話 宇宙人の女の子
今から約20年前、世界の
そして、現代ではその空間の様子を配信する、ダンジョン配信が流行している。
◇
両親は現在、海外旅行中だ。
家にいるのは、中学生の女の子1人である。
だが、それでもやることは変わらない。
休日なので、いつも通り趣味のノベルゲームをプレイしていた。
「なんの音!?」
足音ではないが、誰かが家の中に入り、こちらへと向かって来る気配を感じた。
彼女、
そして、この家も特に何の
「まさか泥棒!?」
ごく普通の家庭ということもあり、まさか泥棒が来るとは思ってもいなかった。
武器を構えたいが、今いる自室には、武器になりそうなものはない。
あるにはあるが、それは日本刀を模したアニメの玩具である。
そんなことを考えている内に。
バンッ!
勢い良くドアが開いた。
「ぎゃああああああああああああああああああっ!!」
普段あまり叫ばないミナであったが、叫ぶしかなかった。
なぜならミナの目の入ったのは、赤黒い血のような色をした、ミミズの集合体のような生物だ。
ダンジョン内のモンスターも配信や動画で見たことがあるが、やはり実際に目にすると違う。
そして何より、今まで見たどのモンスターよりもグロテスクだ。
ミナはその衝撃的過ぎる生物を見て、意識を失ってしまった。
◇
「起きて!」
「はっ!」
ミナは体を起こす。
「私、どうして寝てたんだろう?」
「寝てたって言うよりも、ビックリして気絶しちゃってたんじゃないの?」
「そうなのかな? ……え?」
自室に、なぜかピンク髪ロングヘアの、小学生くらいの女の子がいた。
顔は非常に整っており、美少女という奴だろう。
ただ、ピンク色の髪の毛は少々派手かもしれない。
服装は、なぜか同じ学校のブレザーの制服を着ている。
ということは、中学生なのだろうか?
「そうだ! 泥棒が入って来たんだ! ……って、もしかして泥棒じゃなくて、君?」
「そうだよ! 泥棒じゃなくて、私だよ!」
「そ、そう。安心したけど、勝手に人の家に入っちゃ駄目だよ。というか、どうやって入ったの? 鍵かかってなかったっけ?」
「開けた!」
「開けた!?」
「簡単だったよ! 本当は壊すこともできたけど、壊すのは良くないと思ってさ!」
「え……」
言っていることがよく分からない。
と、ここでミナは気を失う前の記憶を取り戻した。
「う、うわあああああああああああああっ!」
「大丈夫?」
「あ……あ……君は化物!?」
「ヒドイな! 女の子だよ!」
女の子は、「ぷんぷん」と可愛らしく頬を膨らませた。
「おかしいな……私のこと女の子に見えてない? ピンク色の髪の毛をしていて、小学生くらいの女の子に見えない?」
「み、見えるけどさ……」
「気を失う前の姿はあんまり思い出さない方がいいよ! 人間には刺激が強いからね!」
「や、やっぱり……君は化物なんだな!?」
「どう見たって女の子でしょ?」
「お、女の子に見せてるだけで、本当は、さっきの化物なんでしょ!?」
震えながら、必死に言葉を絞り出した。
「凄い! どうして分かったの!?」
「そ、そういうゲームをやったことがある」
「なるほど! バレちゃ仕方ないね!」
女の子は可愛らしく「ごほん」と咳ばらいをすると、自己紹介を始める。
「今の私は、君に見せている幻覚みたいなものだよ! 姿形は変わってないけど、君にだけ、私が女の子に見えるって感じかな!」
「そ、それって、他の物が変な風に見えたりってのはないよね?」
「ないよ!」
「よ、良かったぁ……」
良くないかもしれない。
モンスターが目の前にいるのだから。
しかし、モンスターはダンジョンの外に出ることができないハズだ。
そして、人間の言葉も喋れない。
一体どうして、モンスターがここにいるのだろうか?
「じゃあ、気になっていそうなことを説明するね! まずは私の正体から!」
「ダンジョンのモンスターでしょ?」
「ぶっぷー! 違います!」
「違うの?」
「うん! 人間の言葉でいう所の、宇宙人かな!」
「宇宙人!?」
「うん! 地球の知的生命体、つまりは全人類を抹殺する為に、地球に送られて来たんだよ!」
「想像通り!?」
思わず突っ込んでしまった。
気絶前に見た外見と、その使命があまりにも一致し過ぎていたからだ。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも……」
「大丈夫だよ! 別に私は人間を殺したりしないしさ!」
「そうなの?」
「確かに最初は私の遺伝子的に、人間を殺したくなったんだけどね。この世界のダンジョンっていう場所で暴れていたら、そういう気持ちも収まって来てさ!」
「そ、そう」
「今は人間と仲良くしたいと思ってるよ!」
「そうしてくれると助かるよ」
「えへへ!」
嬉しそうに、ニコリと笑う彼女。
どう見ても、可愛らしい小学生にしか見えない。
「でも、どうして私の所に来たの?」
「それが、やってみたいことができちゃって!」
「何をやりたいの?」
「ダンジョン配信って言うのをしてみたい! でも、私1人だと難しそうだから、人間のマネージャーが欲しいかなって思ってね!」
「ダンジョン配信!?」
ダンジョン配信とは、文字通りダンジョンを探索する様子を配信するという、中々に危険なコンテンツのことである。
「他の人に頼んだ方がいいんじゃない?」
「どうして? 君は私のこと嫌い?」
「そうじゃないけどさ……」
実際は好きになれという方が難しい。
あの姿を思い出さないようにはしているが、忘れることはできない。
「だったらどうして?」
「ダンジョンに行きたくないからだよ」
ダンジョン配信をすれば、モンスターとの戦闘は避けられない。
かなり危険なことだ。
今はエンタメとして受け入れられてはいるが、それでも危ないと言う認識を持っている人も珍しくはない。
「そっかぁ……でも、もしも私が他の人の家に行って、その人が私を殺そうとしたら私少し怒っちゃうかもしれないなぁ……」
「え?」
と、ここで目の前の少女のお腹が鳴る。
「そういえばお腹空いたなぁ……」
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