第91話
「くくっ、あぁ。」
暁にすり寄れば、強まる腕の力が心地良い。
ぴったりとくっつき、心音に耳を傾ける。
「……暁?」
「ん?どうした?」
頭にもう一度、暁に口付けられた気がした。
「…………駄目かもしれない。」
「うん?」
「暁が足りない。」
もっと強く。
暁の温もりに包まれたい。
……………この、胸の内に巣くう不安がなくなるように。
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