第87話



「………。」




そう、なのか?






確かに、俺と朔の目元はお袋に似ていると言われるが。




「まぁ、尊敬する兄貴のお嫁さんになる予定の莉茉さんを奪うつもりも、神無を裏切るつもりもないからさ。」




柔らかく朔は目を細める。





自分の女が心底、愛おしいと言わんばかりの表情で。




「そう、か。」




安堵の溜め息を吐き出した俺は、朔がまた継ぎ足した酒をゆっくりと味わった。

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