第52話

●一夜雪見(一夜零の父方の祖母)に生前自分が亡くなったら、孫の身元保証人になって欲しいと頼まれていたが、実際にはなっていない。

※この人物は、一夜零に嘘の情報と嘘の資料を渡し、自分の事を信用させ、月に一度、自分の事務所に招待し、スタッフと一緒に夕飯を食べて貰っている。

 雨宮は、この食事会で得た彼の情報を毎回、ある人物に渡している。

(写真)

 事務所で密会をする二人の男性。

 一人は、雨宮煉 そして、もう一人は、一年前、一夜零が祖母の家を出る際、啖呵を切った張本人、一夜和樹。

※この二人の関係は、学生時代の先輩、後輩。煉の方が先輩。

●一夜零の親権及び身元保証人になっているのは、書類上では、雨宮煉ではなく一夜和樹。

 そして、この二人の関係を一夜零及び、それどころか一夜家とは、縁もゆかりもない弁護士を時間を掛け調べ上げ、足が棒になるまで探し続け、この人物なら孫の事を頼めると信じる事ができた一夜雪見に関しては、最初の時点で騙されている。

●二人は、一夜零が個人的に管理している銀行口座から、彼に気づかれないように毎月、数万単位のお金を窓口から引き落としている。

 彼には、自分の給料から君の通帳に毎月生活費として5万仕送りしたいからと頼みこみ、食事会の時に、彼に銀行口座の番号を教えて貰いに、彼が帰ったあと、その日の内に二人で銀行に行き、新しいキャッシュカードを零に黙って再発行し、その足でATMでお金を下ろし、二人で山分けしている。

(写真)

 銀行の前のカフェでお金を山分けする雨宮煉と一夜和樹。

「相変わらず、短時間でこんなに調べられるな。う~ん……」

 読み終わった資料をファイルに戻そうとしたら、資料の裏に小さな書き込みを見つけた。

 <P.S 社長へ 

 どうせ、貴方の事だから、採用するんでしょ? 零くんの事?

 だから、仕事帰りに斗真と一緒に必要な生活用品諸々買ってきますよ?

 勿論、領収書は貴方の名前で!>

「まったく、俺の心の中まで探りやがって。その能力俺に使わないで、仕事で使え」

 ここにいない野口に向かって暴言を吐き、再び、資料をファイルに直そうとしたら、テーブルに置いていった黒い携帯に着信が入った。

「俺だ!」

 ★

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